2017年8月18日金曜日

どうなるAI社会?

ブックレビューシリーズ(3)
「文科系人間のためのAI論」  高橋透 小学館新書



ヒト化するAI vs サイボーグ化する人
サブタイトルは「ヒト化するAI vs サイボーグ化する人」。人間の欠損した器官のエクステンションとして人工の器官が活躍する。手足、目、さらに脳も?つまり、人のサイボーグ化。そしてヒトの作ったロボットにAIが搭載され、ロボットがヒト化する。すべてのモノがインターネットでつながり、AI(人工知能)を持つようになる。すでに自動運転の車がすごいスピードで開発されている。かつてIBMがコンピューター生産部門をレノボに売って、自らはシステム作りのほうに特化したように、家電も車もモノそのものの生産より、それとつながるAIを使ったシステムのほうがビジネスになってくるのだろう。


コンピューターが人類を超える日
AIも確実に進歩し、2045年にはAIが人間の知性を追い抜くシンギュラリティ問題。その日は確実にやってくる。AIとの共存社会(100億のAIと100億の人間が共存する社会)はすぐやってくる。ロボット化する人間、人間化するロボット。もはや人間ではなく、「ポストヒューマン」という単語さえ飛び交っている。
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こちらに関しては詳しくは
「2045年問題〜コンピューターが人類を超える日」(松田卓也 廣済堂新書)
「人工知能の核心」(羽生善治 NHK出版新書)
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ポストヒューマン?
この流れの中で「人間」とは何かが問われる。この本の著者は西洋哲学を専門とする哲学者であり、哲学者がAI論を書いているところに意味がある。足、手、目、心臓などが機械となり機能すればそれらを事故などで失った人には助けになる部分もある。しかし、「脳」がコンピューターにアップロードされるとどうなるのか?記憶をコピーして保管できるので、認知症には役立つだろうが、やがて、それが進むと過去現在、世界中のすべての「脳」がつながり、「脱個体的集合体」となるという。SFの世界が現実化する?

興味ふかいのはヒトは自分の「似姿」を創造するようになるという。アシモを作り出した人間の最終目標はもっとヒトに近い、いやヒトを凌駕する存在をクリエイトすることだろう。神の「似姿」に作られた人間は、やがて自分の「似姿」を創造し、古い人は過ぎ去り、新しい人(ポストヒューマン)が誕生する?!


AIで社会はどうなる?
「理系脳で考える」 (成毛眞  朝日新書)によると、2030年、49%が職を失うという。そして理系脳のクリエイティブな人が生き残る。

文系脳は              理系脳は 

1.      転職や異動には苦手意識  → 新しいもの好き 過去に固執しない
2.      スマホは長く大切に使う  → 最新の機能を追い求める
3.      失敗はとことん反省する  → 創造的な人は1秒も反省しない。
               経験値が増えたと思うだけ。
4.      政治や経済の議論に興味がある → 自分のできる範囲を限定する。
5.      話すときは共感を重視     → 行間を読まずに、正確な情報を得る
共感重視の腹の探り合いだと、正確な情報が得られない。こちらも正確に話す。だから逆に信頼されるという。

AI 社会適応のために仕方ないのかも知れないが、そうだとすると日本的な思考や人間関係も変わっていくようだ。将棋の羽生さんは、将棋ソフトには「恐れ」がないという。従って大胆な手も打てるのだと。なるほど。しかし、ヒトには「恐れ」の感覚は大事ではないだろうか。

AIがヒトの知能を越えれば、判断をAIに委ねるようになる。膨大なマーケティングのビッグデーターから経営判断までAIがやるようになる。今でも電車の乗り換えや道案内くらいはスマホに聞いて、答えをもらえる。AIが判断すれば、人の判断力は衰えるのか?実際、自分などは、すでにワープロソフトのおかげで、漢字が書けなくなっている。

さらに・・・

少子化がどんどん進む日本社会で、AI女性で独身男性は満たされてしまうのか?めんどうな結婚生活はいらなくなってしまうのか? 冷蔵庫のものが足りなくなれば、自動的にAIが注文し、家の宅配ボックスに届いている。朝食くらいはAIが作ってくれる。通勤途中もAI友人が今日のニュースを知らせ、メール処理もしてくれる。会社でもわからないことは何でもAI君に聞いて判断する。帰宅後はすでに沸いている風呂に入り、ヘッドギアをつけて仮想世界で山登りしたり、ハンティングをしたりして遊び十分楽しい。もちろん、AIが会話のお相手もする。「今日はどうだった?仕事うまくいったの?」なんて聞いてくる。

あの映画 「her」の世界が現実となる。

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her/世界でひとつの彼女は、スパイクジョーンズ監督脚本による2013年のアメリカ合衆国SF愛映画である。コンピュータのオペレーティングシステム(人格を持つ最新の人工知能型OS)にをする男を描いた物語である。201310月にニューヨーク映画祭でプレミア上映され、同年1218日にアメリカ合衆国で劇場公開された
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そんなのはまだかわいい話だが、ミサイルにAIが搭載されると考えると恐ろしい。AI搭載のロボット戦士も現れるだろう。AIの場合、ディープラーニングで進化する。すごい速度で膨大なデーターを処理できる。人間より賢くなったロボット戦士たちが人間を支配するというSFのような話も、おとぎ話では済まなくなる。


教会はどうなっちゃうのか?
こうなると妄想が膨らむ。当然、クリスチャン生活や、教会も変わってくるだろう。ここからはあくまで、私の妄想ですが・・・

過去の優秀な説教者のビッグデータからAIロボット牧師が説教する。過去のカウンセリングデーターからAI牧師が適切な聖句を引用してアドバイスする。わからないこと、困ったことにAI神アプリがすぐに答えてくれるとなると、悩まなくなる。すべてに、すぐに答えが出る。それはいいことなのか、悪いことなのか?すでにAIが会計士、弁護士の仕事を奪っているという。⚪⚪師というデーターと技術を隠し持った存在が取って代わられつつあるという。それなら、牧師や宣教師も?


AI社会はもう止められない
障害者のために意識しただけで操作できるロボットがすでに開発されつつある。つまり、思っただけで、テレビのチャンネルを変えたり、ものを仕分けして箱に入れたりできるようになる。これは人間のエクステンションとしてのロボット。AIが症状を判断し診断を下る。誤診を減らすことができるかもしれない。医学や介護の世界でとてつもない貢献をしてくれる一方、武器や犯罪、テロなど、とてつもなく危険な面もある。

今時、ワープロを使っている人はいない。ガラケーよりスマホが増える。コンピューターやメールは嫌だと言う人は仕事につけなくなる。周りの迷惑にさえなってしまう。子供の学校でも生徒にコンピューターが支給され、先生との連絡や宿題もそれでやっている。連絡手段が電話とファックスだけの人は災害時にも連絡がとりにくい。職業観も変わっていく。Youtuberで年間5億かせぐ若者がいる。プロのゲーマーが大会で優勝すると億の金を稼げる。Eスポーツ(コンピュータゲーム)がオリンピックの競技になる日も近い。

未だに電気を使わない、アーミッシュのような人々もいることはいるが、世界の大勢は変わっていく。好き嫌いの問題ではなく、ものすごいスピートで変わってゆく。多くの若い牧師はスマホを持ち、当然のごとくラインやフェイスブックで連絡を取り合っている。AIとの共存社会に進んでいくしかないのだ。

知らないがゆえに恐れ。恐れるがゆえに、批判する。しかし、「昔は良かった」「昔のようなリバイバルを」ではなく、この時代の神の戦略を模索していくしかない。この時代の教会形成を模索していくしかない。そして21世紀の神にはそれがある。むしろ期待したい。これからとてつもなく面白いことをやるクリスチャンも出てくるだろう。

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意味ある人間関係と祈りで広がるキリスト中心のコミュニティ
東京メトロ・コミュニティ(TMC)
japantmc@gmail.com (栗原)



2017年8月1日火曜日

人口減少 日本でこれから起きること

ブックレビューシリーズ(3)
「未来の年表」 河合雅司 講談社現代新書
人口減少 日本でこれから起きること。



日本の人口は100年で半減する!
2015年の国勢調査で人口減少が確認された。2015年時点で1億2700万人であった人口は100年も経たぬうちに5000万人ほどに減る。200年後には1380万人に。だいぶ先の話ではあるが、3000年には何と2000人になってしまうという。日本人自体が「絶滅危惧種」となってしまうのだ。確かに今は日本の人口は減っても東京の人口は増えている。しかし、2025年にはついに東京の人口減少が始まる。地方はもっと深刻で2040年には自治体の半数が消滅すると言われている。ちなみにこの早さで人口が減っていく国は他にはないという。


高齢者の激増〜日本は「おばあちゃん大国」に変身
今すでに4人に一人が65歳以上の高齢者。すでに超高齢化社会。2020年には、女性の半数が50歳超え。2024年には、全国民の3人に1人が65歳以上になる。女性の生涯未婚率が高まっており、結婚しても子供を持たない人も増えている。つまり、一人暮らしの女性高齢者が増大する。また孤独死や身寄りのない遺体も増えて行くことになる。当然歳をとれば通常の生活ができなくなっていく。2026年には認知症患者が700万人。もはや「国民病」となる。ガンなどの患者のベッドも足りない、輸血血液も不足する事態となる。

2033年には全国の住宅の3戸に1戸が空き家となる。今日すでに所有者不明の土地が九州全土ほどのスペースになっているという。2065年には現在の住居地域の20%が誰も住まない土地となってしまう。離島の安全保障にも関わってくる。外国人が無人の土地を占拠するようになるという。死者数は
2039年と2040年にピークを迎え、深刻な火葬場不足、霊園不足となる。2042年には高齢者人口が4000万人とピークを迎え、日本最大のピンチとなる。


若者がいない
2016年、出生数は100万人を切った。少子化がハイスピードで進んでいる。問題は100万を切ったことではなく、今後、出生数が急坂を転げ落ちるように減っていくということだ。2065年には55万7000人、2115年には31万8000人にまで落ち込むことが予測されている。つまりこれは後継者不足、労働者不足につながる。事実、2015年を境に勤労者数が減り始めている。2018年に18歳人口が急減し始め、国立大学が倒産の危機へ。
すでに40%超の私立大学が定員割れ。今後、少子化は大学にとっての死活問題となる。2019年からIT技術者が不足しはじめ、社会のインフラの老朽化も進むが、それらを支える技術者の後継者がいなくなる。仕事についた人たちもやがては高齢化した親の介護などで、介護離職が増えて行く。


あとは外国人頼みか?
日本はこのままでは劣化する。労働者不足は目に見えている。そして、それは国に税収にもかかわる。大まかに言って、国の予算は約100兆、税収は40兆、あと残りは国債(借金)に頼っている。すでに税金だけでは賄えない。高齢化、少子化、AI化の中で無くなる職業もある反面、従業者が増える分野もある。その代表が介護福祉関係だろう。政府も途上国の人々に技能や知識を身につけてもらう外国人技能実習制度を拡大し、介護福祉士の資格を取得した留学生が日本で働き続けられるよう、在留資格に「介護」を追加する法改正を行った。

日本の生産年齢人口は2015年から2040年までの25年間で1750万人減少すると推定されている。このまま無策のまま進めば、2110年には日本の人口は4286万人に減ってしまう。しかし、移民を毎年20万人受け入れ、出生率を回復すると2110年には1億1404万人をキープできる試算だ。ただ、そうなると5人に1人は移民ということになる。さらに、北朝鮮崩壊となれば韓国、北朝鮮から40万から100万人の難民が押し寄せるという。こうなると日本の社会構造が変わらざるを得ない。


日本の文化も変わるのか?
宣教師の墓場、クリスチャン人口1%の壁と言われて久しい。なにか日本は永遠に変わってないかのように思われがちだが、100年の間に2度、大変化を経験している。それは明治維新と太平洋戦争敗戦だ。ともに社会がひっくり返るような価値観の変化を伴う社会構造と文化の変化の時だった。そして、両方ともキリスト教が大きなインパクトを社会に与えた。とくに戦後はマッカーサーの後押しもあり、たくさんの宣教師が送られてきて、宣教が進められた。皇国史観という、今までの価値観を否定された若者は共産主義か教会へ足を運んだという。

さて、今、日本はこの100年に人口が半減するという大変化の時を迎えている。日本人が減り、多くの外国人を受け入れる方向となった場合、日本の伝統や文化の変質も避けられない。天皇制、祭り、伝統行事・・・。仏教や神道の価値観、世界観がどこまで継続されるのだろうか。いずれにしても日本は多文化共存社会となる。多様性、違った価値観、世界観を理解し、共存していかなければならなくなる。日本の教会も日本人だけで凝り固まっている訳にはいかないだろう。天国は多文化共生である以上(黙示5:9)、日本の教会もオープンになってゆくことが求められるだろう。また、これが「神の国」にとっての大きなチャンスとなるのかも知れない。

健康寿命が70と言われる今、60ないし、65で退職してもまだまだ人生が長い。高齢化社会の中では定年後の生き方がかなり鍵のテーマとなる。定年後の生き方コーチや終活(ライフレビューのメンター)などのニーズが高まるだろう。

「定年後」〜50歳からの生き方終わり方 楠木新 著(中公新書)に定年後の日本人男性の問題が指摘されている。Social Isolation 、つまり仕事以外での人間関係(教会やコミュニティ活動など)に関して、日本人男性は「全くない」「ほとんどない」が16.7%。調査した21国でダントツ一位、2位はチェコの男性で9.7%。一位と2位の差は約2倍。もう前から言われていることだが、退職後の日本人男性は行き場を失う。「アイデンディティ」を失い、「居場所」を失う。朝から1日何もやることがないことに耐えられなくなる。コーヒーショップ、図書館、書店に一人でうろうろする。奥さんは外での活動に忙しい。そして夫に家に居て欲しくない。教会のチャンスでもある。どうしたら彼らを取り込めるのか。どうしたら彼らにコミュニティを提供できるのか?ご婦人方には「賛美歌を歌う会」とか、男性には「宗教でない、聖書読書会など」?また、増える外国人のために教会員ボランティアによる「日本語教室」なんかもどうだろうか?

21世紀の神にはまだまだアイディアがあるはずだ。

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意味ある人間関係と祈りで広がるキリスト中心のコミュニティ
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