2019年9月28日土曜日

まるっとわかる黙示録(その1)



黙示録は聖書66巻の1書です。手紙形式で書かれ、諸教会で読まれていました。難しいと避けがちになりますが、神が伝えたいメッセージである以上、理解できないというのはおかしな話です。

ましてや「この書の預言のことばを封じてはいけない。時が近づいているからである。」(黙示22:10)とある以上、避けている訳にもいきません。そして、確かに時が近づいてきています。

ある意味でキリストがこの地上に来られた、十字架で贖いの業をなし、復活して天に帰られた時から「終わりの日」が始まっています。そして今は「終わりの終わりの時」です。ですから黙示録を学ぶことは今のクリスチャンの歩みに大きな意味を持つことになるのです。







鍵の思想:「見よ、彼が雲に乗って来られる」(1:7)



第1世紀のクリスチャンにとってキリストの「復活」と「再臨」は信仰の主要なテーマでした。キリストがまた来られることに何の疑いもなかったのです。そればかりかすぐにでも来られると思い、混乱が生じていたくらいです。(第二テサロニケ2章参照)今日の教会はあまりキリストの再臨を語らなくなりました。しかし、「復活」と「再臨」は最重要テーマなのです。「キリストが復活されなかったのなら、わたしたちの宣教は実質のないものになり、あなたがたの信仰も実質のないものになるのです。」( Iコリ15:14)とパウロは言いました。そして再臨がなければ私たちは歴史の終着点を失い、希望を失うことになるのです。



黙示録は、再臨前に何が起こるかを記している書です

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そのメッセージとは
主イエスは必ず戻って来られる。そして、サタンと悪に裁きをつける。最終的には新天新地、完全なる神の支配、天のエルサレムをもたらす。

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歴史は神の贖いの物語です。物語の結末がわかると安心できますね。そしてその結末が明るいものであれば、今、困難な中にあっても勇気が湧いてきます。希望が与えられます。



大きなテーマ「獣の王国 VS 子羊の王国」



キリスト教は世界観であり、歴史観です。単なる道徳倫理の教えではありません。その歴史観は「麦と毒麦」すなわち「神の国」と「闇の国」この2つが葛藤しながら、世界的に広がっていくというものです。2つのグローバリズムともいえるでしょう。そして、全てのヒーロ物語のように最終的にはサタンが滅び、子羊が勝利するのです。この世界はこのまま永遠に続くのではありません。「あとに来る世」(エペ2:7)があるのです。


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子羊の王国:1)神 2)子羊 3)聖霊 4)新しいエルサレム

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  獣の王国:1)サタン 2)獣 3)偽預言者 4)大バビロン

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という、パラレル構造になっています。サタン、獣、偽預言者は悪の三位一体です。サタンは根源的支配(12章)、獣は政治的権力者(13章)、偽預言者は宗教的欺瞞(13章)または偽りのメディア、大バビロンは経済的誘惑(17章)。これらはイエスが対峙したサタンの誘惑の3要素(マタイ4章)と同じであることに気がつくでしょう。



黙示録の流れ
「そこであなたの見たこと、今あること、この後に起こることを書 
 きしるせ。」(1:19)


     あなたの見たこと:1章
     今あること:2章—3章
     この後に起こること:4章から22章



    1章:ヨハネの見た幻

    2章—3章 7つの教会への励ましと警告

    4章—5章:天の描写

    6章−18章:神の裁き 7年間の大患難時代

    19章:キリストの再臨

    20章:千年王国と白いみ座の裁き

    21−22章:永遠の秩序 新天新地と天から降るエルサレム


ざっと全体像を見ました。次回は黙示録中の押さえておきたい用語、大患難時代、再臨などを見ていきましょう。




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参考本
「子羊の王国」岡山英雄著 いのちのことば社
「ヨハネの黙示録」クレイ聖書講解コレクション 中川健一著 
         ハーベストタイムミニストリーズ

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意味ある人間関係と祈りで広がるキリスト中心のコミュニティ
Tokyo Metro Community (TMC)
japantmc@gmail.com (栗原)


2019年9月1日日曜日

この世界で働くということ (6)


 すべの人は物語(世界観)を持っています。その世界観が日常生活の諸要素の価値観を決めていきます。純粋な無神論者なら、「世界は無から始まり、無で終わる。従って人生は無意味」となるでしょう。クリスチャンは愛の神が世界を創造したところから始まるのでポジティブな人生観を持てるのです。キリスト教信仰は単なる道徳の羅列ではなく、世界観であり、歴史観です。


「福音は、真実を語る話です。神が造られた良い世界は罪と悪によって傷つけられましたが、イエス・キリストが自ら死ぬという無限の代価を払って世界を贖われ、いつかイエスが地上に戻られる時に、すべての被造物を新しくされ、すべての苦しみと死は終わり、この世界に完全な平和・正義・喜びが永遠に回復するという真実の話です。神の性質、物質的被造物の素晴らしさ、人間の価値、堕罪、愛と恵みを一番にすること、正義と真理の重要性、贖いへの希望。福音の世界観にあるこうした壮大な意図は、すべてのことに、特に私たちの仕事に影響を与えています。」(p220)

「・・・職場で個人伝道やバイブルスタディをすることも十分ではないのです。ビジネスの世界においてクリスチャンであるということは、むしろ自分の職場生活全体、そして自分が影響力を持つすべての組織・グループにおいて、福音の世界観が持つ意味合いを考え、また神の目的を考えるということなのです。」(p.227)


キリスト教の歴史観は、(創造)—(堕落)—(贖い)ー(回復)—(完成)となります。すべてのヒーロー物語と同じように、サタンに踏みにじられたこの悪の世界がこのまま続くのではなく、スーパーヒーロー(救い主)イエスが再び戻られる時、悪への制裁がなされ、世直しがされ、神のご性質(聖・義・愛)が100%反映される世界が完成すると信じているのです。善は悪に勝ち、神はサタンに勝ち、命は死に勝つという結末を持つ世界観です。今、私たちはその最終ゴールに向けて、贖いのプロセスの真っ只中にいるのです。この世界観を持つことで毎日の生活の態度が変わってきます。

神は今、罪に歪んだこの世界を完成に向けて贖い、回復、修復の業を行なっておられるのです。ローマ8:21には驚くべきことが書かれています。

被造物も、切実な思いで神の子供たちの現れを待ち望んでいるのです。」

神の子供たち(複数)なので、これは神の子=キリストのことではないのです。これはクリスチャンのことです! 被造物解放のプロセスの中で、自然界がクリスチャンの出番を待っていると言っているのです!神の修復の業に私たちも神様チーム(チームJESUS)の一員として参与しているということです。


主の祈りも「御心が『地に』なりますように!」ですね。天国ではない、「この地」になるように祈るよう、主は命じられたのです。神のみ業に参与し、「神の国」を推進する役割が私たちにもあるということです。傷ついたものを癒し、壊れた関係を修復する作業です。もともとあったシャローム(完全な調和)が罪によって乱されています。御心がなるとは「神と人」、「人と人」、「人と被造物」の間にシャロームが回復されることです。これには「被造物のケア」も入っています。放射能汚染や地球温暖化のこともそこに入ってくるテーマでしょう。


仕事の関連で言えば、こういうことでしょう。

「・・・ビジネスとは基本的に権力を集めてその力を行使することであり、法に触れない範囲で最大限の利益を得ること自体が目標であるといって差し支えないでしょう。しかし、なぜ。それは、すべての企業文化に罪が入り込んでいるからです。汚染された川、お粗末な接客、不公平な報酬、権利ばかり主張する態度、将来性のない仕事、人間性を奪うような管理システム、裏切り、権力闘争などは、すべてその罪のせいです。だからこそビジネスの世界観とは正反対の福音の世界観を意識的に持ち込むことに大きな意義があるのです。」(p.206)

「コリント人への手紙第一6章19−20節には『あなたがたは、もはや自分自身のものではないことを、知らないのですか。あなたがたは、代価を払って買い取られたのです』とあります。ここに書かれている神の恵みを知るクリスチャンの労働者や経営者は、自分の仕事を通じて自由に神を敬い、隣人を愛し、人間全体の利益に仕えるのです。・・・・営利事業であれ、非営利団体であれ、芸術関係の仕事であれ、そこには世界に対する神の計画を反映する形で社会貢献していくためのビジョンが必要である・・・」(p.224)



まとめてみましょう。

1ポイント神のご計画している救いは、人間の魂の救いのことだけではない。 
      被造物全体も回復、解放の時を待っている。被造物全体の贖いと 
      いう視野。

2ポイント:神の物語=神は罪に歪んだ世界を「修復」、「回復」、そして
     「完成」に向かって働いておられる。私たちも神様チームの一員と
      して世界の「修復」、「回復」、業に携わっていくことが期待されて 
      いる。被造物管理の責任がある。

イザヤ58:12には、形式的な断食(宗教行事)をしている人との対比で、神が願うことを行う人のことを

「破れを繕うもの、市街を住めるように回復するもの」

と表現しています。神のご計画に参与するというとあまりに大きなことで理解しにくいですが、例えば、町を災害のない、犯罪のない住みよい街にすること。そのために防災活動や、町内の防犯パトロールにボランティアすること。小学生の通学に付き添う事。これは「市街を安全に住めるようにする」大事な働きです。被災地復興の支援すること。これは修復、回復作業です。さらに日常生活の中でも町の道路の修復や電線の修復も、市街を住めるようにする大事な働きです。バスや電車を時間表通りに運行することも町の益に役立っています。雨の中、誕生日のプレゼントを戸口まで届けてくれる宅急便のドライバーはその家族の絆作りに貢献しています。レジのおばさんがいなければクリスマスギフトの買い物もできませんね。同じ仕事をしていてもどういう「視野」を持っているかで変わってきます。

また壊れた関係の修復すること。例えば、離婚しそうな夫婦を助けたり、虐待家庭の親子を助けたりすること、会社で悩んでいる人の話を聞いてあげることなどは大切な回復、修繕の業です。孤児の世話、在留異国人のケアなどは旧約時代から神が大事にされた働きです。労働環境の改善に努め、人権を守る働きも、神のなさっている大きな回復、修復、贖いの業に参与することです。神の喜ばれる修復、回復作業に参与することは、必ず報いのあることであり、やり始めたことはやがて「御国」で完成するのです。あなたが彫り始めた彫刻の完成像をやってくる御国で、見ることになるのです。だからパウロはこう言いました。

「ですから私の愛する兄弟たちよ。堅く立って動かされることなく、いつも主のわざに励みなさい。あなたがたは自分たちの労苦が主にあって無駄でないことを知っているのですから。」(第一コリント15:58)
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ティモシー・ケラー著 「この世界で働くということ」
いのちのことば社




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