2014年6月25日水曜日

地震国の原発


「この国のために祈るシリーズ」


 2011年の国連大学のリポートによると日本は自然災害リスクランキングで世界第5位。つまり、世界で5番目に危ない国とされている。日本には活断層が2000あると言われ、そのうち長期評価がされているのは110本。世界の地震の2割が日本周辺で起っていることだけみても納得がいく。そんな日本に原発が54基。一番多いのはアメリカの104基、続いてフランスの59基、日本は3番目に多い。

2007年の新潟県中越沖地震では、震度6強の地震が稼働中の刈羽原発を襲った。稼働中の原発に震度6強が襲ったのは世界初。その結果3億ベクレルの放射能漏れ、3100カ所に故障ありとされ、その後、運転再開まで2年を費やしている。たが、その経験が生かされない中、福島の事故が起ってしまった。


(震災後の福島3号機)

今回、福島第一原発事故では「想定外の津波」が問題視されているが、ここで注目したいのは、刈羽原発では津波の被害はなかったが激震により変圧器火災が起ったという事実。実は東日本大震災では青森県東通り、宮城県女川、福島第一第二、それに東海村第二原発で震度6を観測。その5つの原発すべてで事故が起っていることだ。津波の被害はそのうち1つ。あと4つの原発は激震で事故が起っている。4カ所で電源を失い、1カ所で爆発ということだ。以前に起った刈羽原発事故、志賀原発事故を含むと日本の原発は震度6以上で100%事故が発生したことになる。


福島では今だに、毎日300トンの汚染地下水が海に流出し、汚染水貯蔵タンクからも汚染水漏れ(それも1つのタンクだけではない)がシリアスな問題になっている。原子力規制委員会はこの事故を「重大な異常事象」であるレベル3とした。実は汚水タンクだけではない。そもそもメルトダウンした1号機から3号機までの内部が現在どうなっているのか誰もわからないという異常事態なのだ。京大原子力実験所の小出助教授によると、すでに大気中にあの広島原発の168発分の放射性物質が放出されてしまったという。日本の原発の19基はすでに築30年を経過している。廃炉にするのに40年、放射性物質の放出が止まるまでに100万年と言われている。小出助教授は「原発はトイレの無いマンション」と表現している。途方も無いものを背負ってしまったことになる。

さて、事故は起ってしまった。しかし、今大事なのは「同じ事故を繰り返さない」ということではないだろうか。地震は来る。昨今話題の「南海トラフ地震」の北の部分の震源域(つまり東海地震の震源域)のまっただ中に浜岡原発がある。発生確率は今後30年で70%。震度予測では6強。東日本大震災をうけて、22mの堤防を建設中だが、写真のように砂地に立っている。大丈夫なのか?

  (浜岡原発)


また、説明したように、事故は津波で起るだけではない。原発内は蜘蛛の巣のようにパイプが張り巡らされている。冷却装置が故障すればたちまち燃料棒の温度は上がる。もし爆発ということになると大気中に放出された放射性物質は8時間−10時間で東京に届く。首都東京が汚染地域となるのだ。南海トラフの震源域は今回の東日本大震災の2倍の1000km。千葉から鹿児島までの広範囲に激震が襲う。東京新聞の記事にあるように、その被害総額は220兆円という天文学的数字となる。しかも、それは原発事故を含んでいない。現在福島のタンク汚染漏れ処理だけで100数十億の税金が投入される。国の年間予算は99兆円。一体どうするのか?


最近、静岡市が出した試算では危険地域からの住民の避難に30時間かかるという。しかし、福島の場合は地震後18時間で爆発している。つまり同じ事が起れば、被曝する人が出るのは必至なのだ。それでも再稼働するのか?

防災関係者の間では、「復旧」と「復興」とは区別されている。「復旧」は現状回復だが、「復興」は、震災の体験を生かし、以前より質の高い状態にすることを意味する。つまり、そこには復興に関わる「意識」や「理念」、「価値観」などが含まれてくる。

大震災が起ると今まで通りでいいのだろうかとの疑問が生まれる。東日本大震災後、こんな発言があった。

この大震災は日本の次の生き方を考えなさいと神が与えたチャンスと考えるべきだ。   
                   (安斎隆 セブン銀行会長  読売新聞2012年1月18日論点)

同じ事を繰り返さないための「次の生き方」が復興の鍵となる。


福島では多くの住民が今だに故郷に帰れない。福島原発で被曝している作業員の9割は東電社員以外の流れ労働者で、被曝保障も十分にされていないという。しかし、政府は原発を「ベース電源」と位置づけ、原発輸出ビジネスまで展開しようとしている。「命より経済」の価値観に逆戻りなのか? いや、トータルで見ると経済的にも原発は安くない。ウランの埋蔵量には限界があり将来性が無いとも言われる。いち早く、浜岡原発が廃炉作業に入ることを切望する。


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祈り課題
1. 国が国民の生命と健康を第一とする政策を取れるよう。
2. 危険が指摘される浜岡原発が即、廃炉作業に入れるよう。
3. 福島の子供達の健康が守られるよう。

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「わたしがこの国を滅ぼさないように、わたしは、この国のために、わたしの前で石垣を築き、破れ口を修復するものを彼らの間に探し求めたが、見つからなかった。」(エゼキエル22:30)

シングルイシューのセミプロ化。ここでもクリスチャンの関与する場があります。この記事を契機に関心を持って頂ければ幸いです。


「放射能列島 日本でこれから起きること」武田邦彦 朝日新書
「福島原発メルトダウン」         広瀬隆 朝日新書
「原子力事故 自衛マニュアル」      桜井淳 青春新書
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御心が天になるごとく、地にも成りますように。
For His Kingdom
Tokyo Metro Community (TMC)
asktmc@gmail.com(栗原)



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