悪はリアルか?
もう、大分昔になるが、ニューズウイークだったか何か表紙に「悪は存在するか?」という大きな見出しが載っていた。ビジネス雑誌がこんなテーマを取り上げているので大変興味深く思い、今でも覚えている。世の中には戦争や虐殺、貧困や差別、汚職や家庭内暴力などがある。ニュースの9割は悪いニュースでは無いだろうか?北朝鮮に娘を拉致された親の気持ちはどんなだろうか?幻想では済まされない。それは確かに存在する「悪」だろう。聖書的には「悪」は存在する。サタンもリアル、悪もリアル。罪もリアル。
「悪」が存在した「エデンの園」
「えっ!アダムが罪を犯すまでは完全だったのではないですか?」しかし、エデンには誘惑者である「蛇」がいた。(創世記3:1)この蛇は黙示録12:9で「古い蛇=サタン」と説明されている。また創世記3:15を見ても、蛇がサタンであることがわかる。つまり、エデンの園にすでにサタン(神に敵対する者)がいたのである。そうすると人間が罪を犯す前から「神への反逆者」の存在、すなわち「悪」があったことになる。
ちなみに、創世記1:1と1:2の間に重大な事件が起こったと考える「ギャップ論」によれば、創世記1:1で神は御使のための宝石に飾られた「エデンの園」を造られた。(エゼキエル28:12−15)サタンは元々、守護者ケルビムとして任命された高級天使であったが、反逆し堕落した。その裁きとして地が虚しくなった(創世記1:2)と考える。神は新しく創造した世界の中に人のためにエデンの園を備え、そこに人を配置した。(創世記2:8)この論に従うと、世の終わりに成就する「千年王国=地上のメシア王国」は人間のための「エデンの園」の回復であり、「新天新地」はいわば第一エデンの園の回復となる。なぜなら黙示録21:19以下の天から降るエルサレムは宝石で造られており、それを示唆していると言えよう。「ギャップ論」には賛否両論あろうが、こうしてみるとどうしてサタンが人間を、なぜそれほどまでに妬み、憎く思うのかが分かる気がする。
現在、存在する「悪」
現在は以下の3つの事のゆえ、「悪」が存在する。
1. 神に反抗し、人を神に反抗するよう誘惑する「サタン」の存在。
悪魔(ギリシア語でディアボロス)は「中傷する者」神の御前で
人間を救われる価値が無いと訴え、特にクリスチャンに「ダメ出し」する。同時に神を中傷し、人に神を信じさせないようにする。サタンとは
「敵対する者」であり、神の御性質、価値観、ご計画にことごとく反対し、それを阻止しようとする存在。聖書では一貫してサタンや悪霊はシンボルではなく生ける現実の「存在」として描かれている。
2. サタンが誤って人に信じ込ませる価値観(金、権力、快楽、プライド)によって動く「この世」というシステム。「肉の欲、目の欲、暮らし向きの自慢」(Iヨハネ2:16)と言われるもの。我々が毎日、社会で向き合っている現実では無いだろうか?だから、パウロはこの世と調子を合わせるな(言語ではこの世の「型」にハマるな)と言っている。(ローマ12:2)共産主義という無神論、唯物論に立つシステムによって国家を運営している国もある。
3. そのシステムに引き寄せられる人間の「罪」という要素。
神から離れた人間は自分を基準に善悪を決める。神はいないと判断することもできる。行き着くところは「傲慢」である。「自分を正しい」とする、この自己中心性は夫婦間で、コミュニティで、会社で、国家間で問題を引き起こす。国単位で「優越思想」に陥ることもある。「人が誘惑にあうのは、それぞれ自分の欲に引かれ、誘われるからです。そして、欲がはらんで罪を生み、罪が熟して死を生みます。」(ヤコブ1:14−15)
ここに「サタン」と「世」と「罪」が悪において相関関係にあることが分かる。その1つだけが解決されてもダメなので、この3つが全て解決されなければ、「悪」は消滅しない。
人間の対処法
1) サタン
科学的にサタンなどいないという嘘に騙されるか、サタンを恐れ崇拝する悪魔礼拝者になるという両極端がある。多くの人は、知らずして悪魔の虜(悪魔の好むものを好む)になっていく。(エペソ2:2)現在も悪霊現象があるし、悪魔の仕業としか思えない悲惨な事件も起こる。人間が解決できているとはとても思えない。今後、悪魔の力は強くなり、「獣」、すなわちサタンが送り込む「反キリスト=偽救世主」による世界統一政府が作られる。人は解決どころか、ますますサタンの配下に入ってゆくのだ。
2) 世
歴史を通して社会改革の試みは何度もあった。しかし、無神論の共産主
義にしろ、有神論の自由主義にしろ、完全な社会は到来していない。選
挙に立つ政治家達の「政治を変えよう!社会を変えよう!」との呼びか
けは聞き飽きている。「教育」でも、「〇〇主義」でも理想の社会システ
ムを作ることはできない。そして、人間に権力志向がある限り、必ずシ
ステムは腐敗する。格差が生まれる。「うまい汁」を吸う層が必ず現れる。
3) 罪
道徳教育で世界が救えるなら今頃、地上天国が来ていなければならない。
犯罪は終わることはなく、離婚は絶えることがなく、戦争がなかった時代もない。最近はSNSでの誹謗中傷で犠牲者まで出ている。人の罪は深く、神を否定しても理想郷は作れない。罪に打ち勝った人など見たことがない。「すべての人は罪を犯して、神の栄光を受けることができず・・」(ローマ3:23)が現実なのだ。
神は悪を完全に解決する
では神が以下の3つをどのように解決するのか見てみよう。
1)「サタン」への対処
サタンは騙しの天才なので、似て非なるものを作って人を騙す。キリスト教カルトを作ったり、終末には「悪の三位一体」すなわち、「竜」「獣」「偽預言者」
として世を惑わす。しかし、サタン攻略の布石は打たれてきた。
● 「彼(キリスト)はおまえ(蛇=サタン)の頭を打ち、おまえは彼のかかとを打つ」(創世記3:15)とあり、これは「原福音」と言われ、十字架でサタンに勝利することが預言されている。
● 「しかし、わたしが神の指によって悪霊どもを追い出しているのなら、もう
神の国はあなたがたのところに来ているのです。」(ルカ11:20)
イエスは地上のミニストリーで悪霊を追い出し、病人を癒し、御国の福音を宣べ伝えた。悪霊はイエスの権威には勝てないことが証明された。
● 終末の患難期の最後の3年半には竜(サタン)は天から地に追い出され、人
類への直接的な攻撃が始まる。しかし、キリストの来臨により、「獣=反キリスト」、「偽預言者」は火の池に投げ込まれ滅びてしまう。(黙示19:20)
● 竜=サタンは千年王国の間、1000年間底知れぬところに閉じ込められる
が、最終的には火の池に投げ込まれる。(黙示20:10)
これでサタンと彼の手下である悪霊どもは全て姿を消す。
2)「この世」というシステムへの対処
神なしで動く社会システム。そのクライマックスは獣=半キリストによる「世界統一政府」だが、主の来臨により獣とともにこのシステムは破壊され、機能しなくなる。そして、真の王であるイエス・キリストがメシア王国をもたらし、全世界を直々に治めることになる。ここには悪の要素がもはや無い。ここでは「山の上の説教」で示された御国の憲法が全うされる。人権蹂躙、人種差別、圧政、パワハラ、セクハラ、いじめ、汚職は無くなる。「世と世の欲は過ぎ去ります。」(Iヨハネ2:17)「この世」という神無きシステムは消滅する。
3)人の「罪」に対する対処
十字架で主イエスが我らの罪を負って死んでくださったので、主を信じる者は神の目に義と認められる存在となる。(ローマ3:24、4:4−5、8:33)法律上、罪の刑罰は無くなった。(ローマ6:23)我らを責め立てている債務証書は無効となった。(コロサイ2:14)さらに内なる御霊が栄光から栄光へと主と同じ姿に変えてくださっている。(IIコリント3:18)
この地上では「霊的戦い」がある。「救い」が完成された訳では無い。神の御前ではすでに「聖徒」であり、「罪人」認定はされないが、悪魔に機会を与えることは可能である。(エペソ4:27)罪を犯す可能性は残っている。(Iヨハネ2:1)しかし、同時に赦される道も用意されている。(Iヨハネ1:9)神ご自身が再臨の時に、御前に立てるよう守ってくださる。(Iテサロニケ5:23)
後は時間の問題で、罪の問題はキリストにあって完全に解決されていると言ってもいい。
このように3つの悪の要素は完全に処置される!
そして我々の最終地点「新天新地」には「もはや呪われるものはなにも無い」(黙示22:3)。すなわち、「悪」が全く消滅するということだ。ハレルヤ!
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執筆者:栗原一芳
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