2022年5月26日木曜日

戦争には宗教が必要?!


戦争には「大義」が必要

日常生活で人を一人殺せば、殺人罪で逮捕され裁かれる。しかし、戦場で敵を何人も殺せば讃えられる。考えてみれば変な論理だ。同じ「命」には変わりないのだが。ところで、人は平気で他人を殺せない。戦場とて人殺しをするには「理由=大義」がいる。

 

つまり、相手を「殺してもいい悪い奴らなのだ」と説得させなければならない。日本が太平洋戦争に突入した時は、「大東亜共栄圏」を構築し、欧米の帝国主義からアジアを守るという「大義」を掲げた。そして、敵国である英国、米国は「鬼畜米英」と呼ばれた。敵=悪人という構造が出来あがる。「いざ来い、ニミッツ、マッカーサー 出て来りゃ地獄へ 逆落とし」という品のない軍歌まで生まれた。

 

今回、ロシアは当初「ドンバス地方の親ロシア派住民を守るため」という大義を掲げた。初めから「侵略」しますと宣言する戦争は誰もやらない。日本も満州を守りたかったし、満州鉄道の護衛という目的で関東軍が配備されていた。しかし、そこには領土拡大の欲望が渦巻いており、盧溝橋事件(自作自演?)を起こして戦争を始めていく。ベトナム戦争開始時のトンキン湾事件もアメリカの自作自演だったと言われている。他国まで行って「罪のない」ベトナム人を殺した後遺症は大きかった。帰還した兵士たちの多くが精神的トラウマを抱えるようになった。当然だろう。戦場であれ、人を殺すとはそういうことだ。

 

戦争には「宗教」が必要

戦争には「大義」だけでは不十分だ。それで「宗教」が必要になる。十字軍のように「エルサレムをイスラムから奪還する!これは神のためなのだ!」と。宗教的大義を持ってくる。イスラムのジハード(聖戦)では、「自爆テロ」はアラーへの最高の奉仕であり、これで天国が確約されるとする。オウム真理教の起こした「地下鉄サリン事件」では人々をポア(殺害)することが最高善と信じて行った。つまり「正しいことをやっている」という洗脳が必要になる。戦争を正当化する「世界観」が必要になる。神を持ってきて神を後ろ盾にする。古今東西、戦争の神々は常に存在した。

 

大日本帝国時代、天皇は「神」であった。しかし、素朴な神社を構える伝統的な神主は「天皇は神ではない」と知っていた。その証言もある。国家神道が、すでに素朴なアニミズムを超えた、戦争を支える「装置」になっていったことを知っていたのだ。日本の場合はさらにそれに「同調圧力」が加わり、国民は「NO」と言えなくなった。メディアも反戦の記事を書けなくなった。反抗的な新聞社には紙の配給を停止した。戦争末期のスローガンは、「一億火の玉!」「一億玉砕!」。ここまで来ると、カルト狂信と同じだろう。宗教は献身を要求する。ちょっと考えて欲しい。あの時、「国家神道」がなかったら、「神国」日本でなかったら、天皇が「現人神」でなかったら、あの戦争はどうなっていたのか。そこまで無茶な戦闘を続けただろうかと・・・

 

真の戦争は「霊的戦い」

初代クリスチャンたちが戦争を拒否したのは、人殺しに反対するだけではなく、兵士になると現人神であるローマ皇帝礼拝を強要されるからだったのだ。それは偶像礼拝であり、戦争は「神」のために戦う、いわば礼拝行為の一部となっていた。

 

太平洋戦争中に「カミカゼ」に乗って自爆した兵士達は「靖国で会おう」「天皇陛下万歳!」と叫んで突っ込んで行ったのだ。それは大日本帝国への献身であり、天皇への礼拝行為だったのだ。戦争が悪なのは「偶像」礼拝なしにあり得ないからだ。単なる社会的、政治的大義だけでは、まだ人は殺せない。そこで神がかってくるのだ。神が「良し」とされる戦争でなければならない。神が「天国」(イスラムの天国であれ、 ヤスクニであれ)を保証しなければならない。後で国民は知ることになるのだが、「お国のため」とは民衆のためではなく、天皇制のことであったと。事実、沖縄では市民10万人が本土(天皇のいる東京)を守るための人の盾となった。

 

人が人を殺すことの背後にはサタンがいる。人類最初の殺人はカインによるアベルの殺人。妬みによる殺人には、サタンのプッシュがあったと思われる。自殺もサタンのプッシュがなければ通常できることではない。「誰でもよかった」という無差別殺人を行う犯人の背後には悪霊の働きがあるだろう。神が与えた命を奪う行為はサタン的だ。戦争は多くの憎しみを生み、多くの命を奪い、土地や被造物(動植物や自然環境)を荒廃させる。どう考えても御心ではない。人を殺すものに永遠のいのちがとどまることはない。(Iヨハネ3:15)今回のウクライナ戦でも大義はともかく、多くの子供達が犠牲になっている。それだけでアウトだろう。それを喜ぶのはサタンだろう。サタンは「この世の神」と呼ばれている。(IIコリント3:4)残念ながら、この世は直接的には「空中の権威を持つ支配者」であるサタンに支配されている。(エペソ2:2)サタンにひれ伏せば権力、富が手に入る。(マタイ4:8−9)侵略戦争の背後には、この力が働かないと言えるだろうか?(ヤコブ3:16、4:1−2)

 

霊的戦いに勝利せよ!

戦争は偶像礼拝を喚起する。そして、その神(指導者、主義)のために殺人をしに戦場に行く。戦争の背後にはサタンがいる。ドンパチやっている背後では「霊的戦い」が繰り広げられている。だから、クリスチャンは、霊界での戦いに勝利しなければならない。(ダニエル10:13、20)ニュースや新聞で報道されている表面的なことだけで一喜一憂できないのだ。背後で起こっている霊的戦いに目を向けなければならない。戦争を長引かせることで益を得る軍事産業もある。ベトナム戦争のように、米国指導層のプライドゆえに負けを認められず、戦争を継続し、若者を戦場に送り続けることもある。サタンの策略に無知であってはならない。( IIコリント2:11、エペソ6:11)

 

地上の王たちはイエスにひれ伏さない限り、サタンの餌食になる可能性がある。国は「獣化」する。現在も少数民族を弾圧、抹殺、または再教育(洗脳)しようとしている国がある。また、戦争には「嘘」(フェイクニュース)がつきものだ。サタンは「偽りの父」(ヨハネ8:44)と呼ばれているこのように「獣化」した国の背後にはサタンが働いていると言えよう。私たちには「祈り」という別の武器がある。私たちは大祭司イエスと共に「執り成し」の祈りをすることができる。

 

私たちは肉にあって歩んではいても、肉に従って戦ってはいません。私たちの戦いの武器は肉のものではなく、神のために要塞を打ち倒す力があるものです。                   (IIコリント10:3—4)

 

1962年10月、ソ連がキューバに攻撃用核ミサイルを配備し、当時冷戦状態だったアメリカとの緊張関係がマックスとなった。あわや世界を巻き込む核戦争になる瀬戸際で、フルシチョフからの申入れで交渉が行われ、アメリカがキューバへ侵攻しないことを条件に、ソ連がミサイルを撤去することに同意した。こうして危機は回避された。この背後には多くの教会で平和のための祈りが積まれていたことを見逃してはならない。寸でのところで神が介入し人間の愚かしさを止めてくださったのではないだろうか。

 

最終的な平和はイエスの再臨によってもたらされる「メシア王国」まで待たなければならないが、その希望を抱きつつ、今は、霊的戦いに参戦しよう。祈りにより霊の流れを変えることは可能なのだ。

 

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● お勧め映画

Thirteen Days   

キューバ危機についての映画 いかに危機を脱したのか?

 

「ペンタゴン文書」 

ベトナム戦争下、政府が国民を騙していたことの記録が発覚!

 

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2022年5月19日木曜日

約束の地(5)


神の救いのご計画

ローマ書は「ユダヤ人」、「異邦人」が神の御前には共に罪人であり、同じ福音によって救われることが書かれている。ただし、国家的ユダヤ人の救いにはタイムテーブルがある。ローマ書11章から見てみよう。まず、パウロはイスラエルに対する神の御心は変わっていないことを確認する。

 

そして、イスラエルのことをこう言っています。「わたしは終日、手を差し伸べた。不従順で反抗する民に対して。」(ローマ10:21)

 

以下、11章のまとめ

 

 イスラエルが退けられてしまった訳ではないことを書いている。(11:1)

 恵により救われるユダヤ人は今日もいる。(11:5)

 しかし、国民としては霊的に盲目状態である。(11:8)

 ユダヤ人はイエスに躓いたが、結果、それが世界伝道へとつながった。

                      (11:11)

  神の側からは、そのようにしてユダヤ人に妬みを起こさせたい。

                     (11:11)

  神は本来の枝(ユダヤ人)をあわれみ、再び接ぎ木される。(11:23)

  ユダヤ人は、もっと容易く元のオリーブに接ぎ木される。つまり、霊的覚醒が早い期間で起こり得る。(11:24)

 

兄弟たち。あなたがたが自分を知恵のある者と考えないようにするために、この奥義を知らずにいてほしくはありません。イスラエル人の一部が頑なになったのは異邦人の満ちる時が来るまでであり、こうして、イスラエルはみな救われるのです。 (ローマ11:25−26)

 

  ユダヤ人が拒絶したので、福音は先ず異邦人世界へ伝えられた。世界宣教を通して異邦人の救われる人の数が満ちるとイスラエルも覚醒が始まり、ついにはイスラエルに民族的リバイバルが起こり、皆、救われることになる。

  ユダヤ人は、今はクリスチャンに敵対しているが神に愛されている。

                         (11:28)

  神のイスラエルへの召命と賜物は変わらない。(11:29)

  異邦人が不従順であったが、あわれみを受けたようにユダヤ人もあわれみを受ける。(11:31)

 

メシア王国の樹立(千年王国) 

そこで使徒たちは、一緒に集まったとき、イエスに尋ねた。「主よ。イスラエルのために国を再興してくださるのは、この時なのですか。」イエスは彼らに言われた。「いつとか、どんな時とかいうことは、あなたがたの知るところではありません。」(使徒1:6−7)

 

使徒たちはイエスの昇天直前までイスラエルの再興(メシア王国)に関心があった。ダビデ契約(第二サムエル7:11−16、第一歴代17:10−14)を知っていた使徒たちにとって当然の質問だったろう。ここでイエスはイスラエルの再興を否定していない。ただ、時期については明言しなかった。とこしえまでも続く王座はイエス・キリストによって成就する。「この世」の王国の王としてイエスが君臨するのはいつだろうか?(黙示録11:15)また、アブラハム土地契約はどうなるのか?創世記15:18−19には、領土の領域が具体的に示されているが、未だ実現していない。

 

ある人々は「今」が「メシア王国=千年王国」であると言う。しかし、千年王国の到来はサタンが縛られた後であると明言されている。(黙示録20:2)ここは黙示録の時系列的な流れに従って解釈するのが自然だ。つまり、キリストの地上再臨があり、ハルマゲドンの戦いで勝利された後(黙示録19:19−20)、聖徒と共にキリストが王として千年間、地上を治めることになる。これがメシア王国=千年王国だ。ここに旧約の「メシア王国」預言は成就する。

 

約束の地 最終章

このシリーズは「約束の地」というテーマでイスラエルの歴史を見てきた。霊的に重要なのは、カナンという「約束の地」に入ったイスラエルは完全な「安息」を得られなかったということだ。(ヘブル4:3−9)約束の地に入っても、カナン人を完全に追い出すことができなかった故に、常に戦いが生じ、偶像礼拝の誘惑に負けた。現在のクリスチャン生活も、敵であるサタンと悪霊は完全には追い出されておらず、霊的戦いが続いている。クリスチャンは、キリストを信じて心の安息を得ている(4:3)が、完全な安息状態ではない。

 

ヘブル書4章では、神の安息は「まだ」残されているとある。(9節)やがて到来するメシア王国において政治的、社会的安息をこの地上で得ることになる。そこでは、あるべき社会的秩序が回復するだろう。旧約の多くの「地上的」約束もここで実現されるだろう。そして、永遠の秩序である「新天新地」に移行する。そこでも12部族の名前が出てくる。アイデンティティは失われていない。(黙示録21:12)ちなみに新約の教会を代表する12使徒の名前も出てくる。(黙示録21:14)アイデンディディは、それぞれ残る。しかし、それ以上に重要なのは、「額にある印」(22:4)が示すように、「神のもの」というアイデンティティだ。ユダヤ人も異邦人も、共に神の顔を仰ぎ見る。もはや呪われるものは何もない。(22:3)私達は確実にこの「希望」に向かっている。

 

このように聖書は現実の歴史を扱っているのであり、宗教の「神話」ではない。預言は確実に歴史の中で成就していく。聖書は単なる「道徳」の本ではないのだ。従って聖書全体を読みながら、聖書的な世界観、歴史観を持つことが重要なのだ。

 

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イスラエルの例祭と新約の時系列的「救い」のイベント

 

(春の例祭)

  過越の祭り (十字架の贖罪)

  種無しパンの祭り (罪のきよめ)

  初穂の祭り(イエスの復活)

  五旬節(聖霊の注ぎ)

 

(秋の例祭)

  ラッパの祭り (携挙) *時が定かでないのが特徴

  贖罪の日 (患難時代の国民的悔い改めとイエスの地上再臨)

  仮庵の祭り (メシア王国=約束の地到達=千年王国での祝宴)

 

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2022年5月12日木曜日

約束の地(4)


世界勢力バランスの変化

エゼキエル戦争の結末は大きな世界勢力バランスの変化をもたらす。ロシアとイスラム原理主義の国々が敗北し、壊滅的な打撃を負うことになる。また、すでにアメリカは影が薄くなってきているが、大患難期前携挙があった場合、アメリカの指導的立場にいる、かなりの人々がいなくなると予測される。そうするとアメリカはさらに急速にリベラル化し、共産化し、衰退化していく。生き残ったヨーロッパ諸国連合が世界的な力を持ってくる。そしてヨーロッパから、混迷した世界に光をもたらす偉大なるリーダーが出現するだろう。

 

世界的リーダーの登場

ゼレンスキー大統領は、ネットを通して先進国の国会で演説するという前代未聞の出来事が起こった。ある国ではスタンディングオベーションまであった。世界の主要国の支持を取り付けている。もちろん、ゼレンスキーが反キリストではないが、おそらく反キリストは、このような形で世界の国々にアッピールし、新しい世界秩序のヴィションを訴えるだろう。一昔前なら不可能だったことがITの発達により可能になった。一人が世界に直接訴えることが出来るのだ。



先行き不安な世界を力強く導いてくれるリーダーを世界は喝采するだろう。こうして反キリストは世界的英雄として登場するだろう。実際、一時的な世界平和が訪れる。そして、反キリストは、イスラエルと平和条約を結ぶことになる。(ダニエル9:27)ここで、世界の時計がまた1つ進むことになる。これが大患難時代の始まりである。

 

大患難時代におけるユダヤ人への宣教

実は患難時代は「さばき」の時であると同時に「宣教」の時なのだ。神は大患難時代の前半、世界に離散している14万4千人のユダヤ人によりユダヤ人伝道を推進する。(黙示録7章)彼らは患難時代に損なわれることなく最後まで宣教活動する。(黙示録14:1)彼らの伝道活動は、異邦人にも祝福を与るだろう。また、神から遣わされた二人の預言者はエルサレムで宣教活動する。(黙示録11:1−12)彼らはキリストのように敵によって殺され、復活し、昇天する。その後、大地震がエルサレムで起こり、その結果、多くのユダヤ人は天の神に栄光を帰す。(黙示録11:13)ユダヤ人は霊的に目覚め始める。

 

第3神殿と捧げもの禁止令

ヨハネが黙示録を書いた頃(AD90)すでにエルサレムの神殿は破壊(AD70)されている。それにも関わらず黙示録11:1には「神殿と祭壇とそこで礼拝している人を測りなさい。」と神殿礼拝の幻を見させられる。つまり、これは将来、第三神殿がエルサレムに建っていることを意味する。11:2では、42ヶ月(3年半)聖なる都(エルサレム)と神殿を汚す異邦人のことが書かれている。これをダニエル9:27と照らし合わせると、大患難時代、エルサレムに第三神殿が建っており、そこで礼拝が行われ捧げものが捧げられているということが前提となっている。反キリストとイスラエルとの7年間の安全保障条約によって可能となるのだろうか?(ダニエル9:27)しかし、後半3年半は、反キリストが自らを神宣言するので、(黙示録13:4−7)ユダヤ教の礼拝と捧げものは禁止されることになる。それはユダヤ人にとって堪え難い苦しみの時となる。しかし、この苦しみの中で精錬され、目が開かれ、国民的リバイバルへとつながる。

 

こうして終わりの日に、これらすべてのことがあなたに臨み、あなたが苦しみのうちにあるとき、あなたは、あなたの神、主に立ち返り、御声に聞き従う。あなたの神、主はあわれみ深い神であり、あなたを捨てず、あなたを滅ぼさず、あなたの父祖たちに誓った契約を忘れないからである。

                  (申命記4:30−31)

 

以下は約2000年前、イエスを拒否したユダヤ人たちにイエスが語った言葉だ。イエスをメシアと認め、「来てください!」と叫ぶ時に、キリストの地上再臨が実現する。

 

「見よ。おまえたちの家は、荒れ果てたまま見捨てられる。わたしはおまえたちに言う。今から後、『祝福あれ、主の御名によって来られる方に』とおまえたちが言う時が来るまで、決しておまえたちがわたしを見ることはない。」

                  (マタイ23:38−29)

 

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さらに学びたい人に

「1日でわかるイスラエル論」中川健一著 ハーベストタイムミニストリーズ

 

「1日でわかる千年王国論」中川健一著 ハーベストタイムミニストリーズ

 

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2022年5月5日木曜日

約束の地(3)


不信仰な状態での帰還

現在920万の人口を持つ裕福な国イスラエル。帰還したユダヤ人により1948年に設立されたが、霊的には不信仰な状態での帰還であった。未だ、イスラエルは国家としてはイエスをメシアと認めていない。霊的には2000年前イエスを拒否したままの状態なのだ。現在のイスラエルが神に喜ばれる「聖なる国民」なのではない。従って現在のイスラエルの指導者や、政治姿勢をそのまま是とすることもできない。

 

イエスは復活を信じないサドカイ派(世俗、政治)も、宗教的に厳格なパリサイ派(律法主義)も、どちらも退けられた。政治や宗教では神の国をもたらすことができない。また、ユダヤ人であってもサタンにひれ伏しこの世の富と栄華を手に入れている人もいるかも知れない。ユダヤ人がすべて聖徒なのではない。イエス当時のユダヤ人はアブラハムの子孫ゆえに自動的に神の国に入ると信じていた。しかし、イエスは生まれ変わりの必要を教えられた。(ヨハネ3:3)今のユダヤ人にとって必要なのは「悔い改め」すなわち、方向転換してイエスをメシアと信じることだ。十字架以降、「新しい契約」の時代に入っている。(ルカ22:20)「背きの責任」を人に負わせず、「和解のことば」が委ねられるようになった。(IIコリント5:19)人は恵と信仰により救われる。

 

グッドニュースは、最近のインターネットの普及により、オンライン上で新約聖書 (One for Israelなどに触れ、福音を聞いてイエスを信じるユダヤ人(メシアニックジュー)が起こされてきていることだ。

 

大きな転換とアブラハム合意

近年、イスラエル周辺で大きな転換が起こっている。4度の中東戦争を経過するに当たり、中東各国はまずアラブ連盟を結成し、イスラエルへの対抗姿勢を示すことでは一致した。また、イスラエルや西側に対抗するために、汎アラブ主義に基づいて各国が合併や連合したが産油国非産油国の思惑は常にすれ違い失敗した。

 

第四次中東戦争以後、イスラエルとアラブ国家との本格的な武力衝突は起きていない。いくつかの大きな転換があったからだ。

 

   サダト(エジプト大統領)は、反イスラエル路線を転換し、19783

単独でキャンプ・デービッド合意(エジプト-イスラエル和平合意)に調印した。かつてアラブの盟主を自認し、中東戦争を先頭で進めたエジプトの大転換だ。

 

    1979イランで起きたイスラム革命イスラム原理主義による国政を目指

す勢力が、国王を国外追放して政権を握ってしまったことは、社会の近代化を進めようとするサウジアラビアなどのアラブの王国にとって脅威であった。1980、アラブを代表して国境を接するイラクがイランとの全面戦争(イラン・イラク戦争)に突入した時、アラブ各国をはじめ、米ソもイラクを支援した。

 

   19947、イスラエル首相ラビンはパレスチナの国際法上の領ヨルダン

との戦争状態終結を宣言し、10イスラエル・ヨルダン平和条約を結んだ。

 

    2020にはアメリカの仲介でバーレーンアラブ首長国連邦UAE)、

スーダンモロッコが相次いでイスラエルとの国交正常化に合意(アブラハム合意)。これに反発したハマスとイスラエルの軍事衝突が発生している。

 

つまり、イスラエルではなく、イランがアラブ諸国にとっての脅威となったのだ。シリア内戦時、アサド政権支配地が3割程度に縮小した時、ロシア、イラン、トルコが協力して政権をバックアップし、現時点でシリア領土の8割方を奪還。現在ロシアがシリアの制空権を有しており治安を守っている。また、イスラエルと国境を接するシリアにイランの軍事工場が置かれている。歴史的にイランはロシアと2度戦争し、土地を奪われている。トルコもロシアと12回戦争。これら3国が同盟を組むことはあり得なかった。しかし、今は、かつて敵同士であったロシア、イラン、トルコが軍事同盟を結んでいる。(写真)この同盟は「エゼキエル戦争」の中心的な軍事同盟だ。最近のこのニュースも気掛かりだ。ロシア外務省、イスラエルを批判『ネオナチ政権を支持』」朝日新聞デジタル国際・外交タイムライン 2022年5月4日)



「エゼキエル戦争」の舞台が整いつつある?

イランの憲法には、イスラエルの殲滅が記されているという。メシアニックジューのアミール・ツァルファティ氏のYouTube動画によると、イランはイスラエルに向けてミサイルを配置しており、ミサイルにはわざとヘブル語で「イスラエル攻撃用」と書いてあるそうだ。また、イスラム原理主義の予言では、今年の7月8日にイスラエルは消滅することになっており、テロが活発化しているという。以前、ガザからイスラエルへハマスによるミサイル攻撃がニュースになったが、今回は4月25日にレバノンからイスラエルの空き地にロシア製ミサイル2発が着弾。またイランからのイスラエルのサイバー攻撃が行われているという。アラブ諸国とイスラエルはイランを恐れている。アメリカの存在感が薄くなっている中、いわば中東版、「NATO」が必要という認識になってきている。

 

 202232728日、イスラエル南部のネゲブ砂漠のスデ・ボケルにイスラエル、バハレーン、UAE、モロッコ、エジプトの外相が集まり、地域安全保障を議論する多国間会議「ネゲブ・サミット」が開催された。米国のブリンケン国務長官も同会議に参加した。(公益法人中東調査会HP

 

聖書(エゼキエル38章)ではロシアがイラン、トルコ、およびアフリカの非アラブ、イスラム諸国と連合してイスラエルに侵攻してくると預言している。それが2600年前に書かれていると言ったら驚かれることだろう。これがその預言だ。

 

「さらに、私に次のような主のことばがあった。『人の子よ。メシェクとトバルの大首長であるマゴグの地のゴグに顔を向け、彼に預言して言え。神である主はこう仰せられる。メシェクとトバルの大首長であるゴグよ。今、わたしは、あなたに立ち向かう。わたしはあなたを引き回し、あなたのあごに鉤をかけ、あなたと、あなたの全軍勢を出陣させる。それはみな武装した馬や騎兵、大盾と盾を持ち、みな剣を取る大集団だ。ペルシャとプテも彼らと共におり、みな盾とかぶとを着けている。ゴメルと、そのすべての軍勢、北の果てのベテ・トガルマと、その全ての軍勢、それに多くの国々の民があなたとともにいる。備えをせよ。あなたも、あなたのところに集められた全集団も備えをせよ。あなたは彼らを監督せよ。多くの日が過ぎて、あなたは命令を受け、終わりの年に、1つの国に侵入する。その国は剣の災害から立ち直り、その民は多くの国々の中から集められ、久しく廃墟であったイスラエルの山々に住んでいる。その民は国々の民の中から連れ出され、彼らはみな安心して住んでいる。あなたは嵐のように攻め上り、あなたとあなたの全部隊、それにあなたにつく多くの国々の民は、地をおおう雲のようになる。』」(エゼキエル38:1−9)

 

ここで地名を整理しておこう。

 

マゴグ:トルコ北のコーカサス山脈の北のエリア、すなわちロシア。エゼキエ

    ル38:15「北の果てのあなたの国」とあり、エルサレムからまっ

    すぐ北上するとモスクワを通る。北の果ての大国はロシア以外にあり

    得ない。

メシェク:モスクワの語源

トバル:トボリスク(ウラル山脈の東、シベリアの首都)

ベテ・トガルマ:トルコ、アルメニア地方

ペルシャ:イラン 

プテ:ソマリア

ゴメル:ドイツ (ゲルマニア)

 

現在、すでにロシア、イラン、トルコは同盟を組んでいる。ここにドイツが入っているのが意外だろう。しかし、シュルツ首相はロシアに対して煮え切らない態度をとっている。ロシアは、ドイツにとって最大のエネルギー供給国である。英国の石油会社BPの報告書によると、2020年のドイツの天然ガス輸入量の内55.2%はロシアからだった。」JB press 2022.5.2)欧米諸国のプレッシャーからロシアからの天然ガス輸入をストップすれば、国民生活に大打撃を被ることになる。国民の怒りが爆発すれば、手のひら返しが無いとは言い切れない。

 

最近、イスラエルでは油田が相次いで開発されている。イスラエルは魅力的な豊かな国なのだ。

 

あなた(ロシア)のあごに鉤をかけ、あなたと、あなたの全軍勢を出陣させる。

 

ロシア連合軍は、経済事情ゆえに出陣せざるを得ない時が来るのだろう。(エゼキエル38:13)イスラエルが攻撃された時、今のウクライナのように、アメリカも、中東版NATOも直接関与しないのではないか。しかし、主は不思議な方法で敵を撃退する。(エゼキエル38:21−22)この不思議な勝利のニュースは世界を駆け巡るだろう。(エゼキエル38:23)

 



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さらに学びたい人に

「1日でわかるイスラエル論」中川健一著 ハーベストタイムミニストリーズ

 

「1日でわかる千年王国論」中川健一著 ハーベストタイムミニストリーズ

 

動画「アメリカには頼れないイスラエル」

講師:明石清正牧師 ■カルバリーチャペル・ロゴス東京

https://www.youtube.com/watch?v=u26GqPTQA14

 

Amir Tsarfati  BREAKING NEWS

https://www.youtube.com/watch?v=Idj8yKg295k

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