「知らない」ことは「存在しない」?
77億が196カ国に住む地球には、毎日、相当の出来事が起こっている。しかし、我々がニュースで知る出来事は、その中のほんの僅かだろう。メディアは多々起こっている世界のニュースを「選択」して「加工」して報道しているのだ。カメラのアングル一つで、全く違った印象を与えることができる。そして、ニュースで報道しないことは、知らないし、分からない。そして、知らないことは「存在しない」ことになっている。例えば・・・
6月10日、イスラエル軍戦闘機が、シリア、ダマスカス国際空港に対してミサイルによる爆撃を行った。シリア軍防空部隊が迎撃によりそのほとんどを撃破したが、民間人1人が負傷、物的被害が出た。イスラエルは2022年だけでも、シリアに対して戦闘機によるミサイル攻撃などを11回(1月5、31日、2月9日、16日、23日、24日、4月9日、14日、5月11日、13日、20日、6月6日)も行っている。これらは、レバノンのヒズボラなどいわゆる「イランの民兵」やシリア軍の拠点を標的としていた。だが、12回目となる6月10日の攻撃において、イスラエルが狙ったのは民間施設のダマスカス国際空港だったという。
日本人でこの事件を知っている人はごく僅かだろう。軍施設ではなく、民間の国際空港を攻撃したのだ。欧米諸国や日本の政府やメディアはこれまでと同様、イスラエルを追及することも、シリアに同情することもなく、市民の反応もほぼ皆無だった。海外のニュースで報道されていて、日本で報道されていないニュースも多々あるのだ。
「ウクライナ」での戦闘は誰もが知っている。大手メディアが報道するから。大手メディアが、ニュースバリューがあると判断しているからだ。ニュースがメディア会社の判断によるだけでいいのだろうか?置き去りにされている問題も世界には多々あるものと思われる。アフリカで起こっていることなど、日本では滅多に耳にしない。
知らないことが多すぎる
「ウイグル人権問題」は勇気あるジャーナリスト達が報道した結果、我々も知ることになった。世界に人権問題は多々あるのだろう。ただ、放映されない限り、我々は知らないのだ。そして、知らないことは「存在」していない。例えば・・
6月16日のニュース。パキスタンの北部で51度の猛暑。停電で扇風機も動かない。赤ちゃんが泣かないようにお母さんが、たらいの水をかけている。多くは貧しい農家の人々なので、猛暑の中、畑仕事をしなければならない。
インターネットに小さく掲載されたニュース。注意すれば流れているが、大手メディアのメインニュースでは報道しないので、ほとんどの人は知らないだろう。知らなければ、支援の声は上がらない。
ウクライナ戦争でアフリカでは食糧不足被害が出ているが、もともと貧困地域に住んでいる差別されている人々の被害は甚大だ。しかし、そのことをあまり知らない。
イエメンの主要都市のスラム街に住んでいる「アフダーム」と呼ばれる人々がいる。公式の統計では50万人、他の情報では300万人に近いと言われる。アフリカ系ゆえに常に社会的不平等に直面し、様々な面で差別され、機会がほぼ与えられない。学校に通う子どもはほとんどおらず、幼児死亡率の高さは衝撃的。数年前にイエメン内戦が始まって以来、疎外されたアフダームの生活環境は確実に悪化している。多くの貧しい人々はゴミ捨て場で水や食料、あるいは使えるもの、売れるものを探している。コロナ感染しても誰も病院で治療を受ける経済的余裕がない。同じイスラム教徒からも「悪いムスリム」と見なされ援助を受けられていない。(小冊子:ムスリム世界のための30日の祈り)
自分自身、こんな人々がいることさえ、この祈りの小冊子を読むまで知らなかった。「知らない」ことは「存在」していない。アフガニスタンでアメリカ軍が撤退し、アメリカが支援していた政府は、タリバンに乗っ取られた。この「力による現状変更」は、もう誰も問題視しない。ニュース番組で放映しないからだ。ニュースにならなければ、「存在」しないのだ。
数年前、私は日立の教会に招かれて「防災セミナー」を行なった。2011年当時、東日本大震災で津波被害の大きかった石巻や福島のニュースは毎日のように流れた。私自身、日立の被害についてはほとんど知らなかった。それは報道されなかったからだ。しかし、現地に行って話を聞いてみると「震度6」の揺れによる被害や、ガソリン不足で長蛇の列があったなど、大きな被害があったことが分かった。
現実に存在する富の不公平
上位1%の世界の富豪が世界の富の4割近くを保有している。今回のコロナ騒ぎで世界の富豪10人は資産が倍増していることを知っているだろうか?
(https://www.bbc.com/japanese/60033540)
パンデミックと大手製薬会社と利権。考えたくもないが、何かある。
ウクライナ戦争の長期化で世界的食糧危機が来ると言われている。そこで、将来の人類のために、グローバルエリートと呼ばれる「選ばれた」人々が世界の人々を管理・支配してゆくことが望ましいと考えている人達もいる。「世界食糧バンク」、いい考えに思われる。しかし、それを実現するには、「世界統一政府」への流れが必須となる。一見「的」を得ているようなのだが、その支配層はどういう価値観、世界観を持っているのだろうか? 神を否定し、エデンの園の「知恵の実」(神無しの自己判断)を食べた系列にいるものと思われる。
中国ではワクチンを打たない高齢者には支給金を支払わないと決めたそうだ。そのように世界政府になると、支配層の価値観で受給に制限がかかる。「グレート・リセット」で推奨する、全ての人への「ベーシックインカム」。聞こえはいいが、タダではない。お上の言うことを聞かなければもらえないのだ。「教育の無償化」聞こえはいいが、お上の決めた教科書を使わなければ、そのサービスは受けられない。もちろん「創造論」を否定する教えだろう。そういう事だ。
人々を誘導するメディア
もし世界の1%の富豪達が大手メディアを買い占め、ある方向に人々の考えを誘導するとしたら・・・もう一度、考えてみよう。メディアは多々起こっている世界のニュースを「選択」して「加工」して報道しているのだ。偏向報道もあれば、あえて報道しないニュースも多々あるのだ。
証券保管振替機構によると、現在の民放各局の外国人株主の比率は、テレビ朝日が12.7%、TBSは13.34%、日本テレビは22.01%。フジテレビにいたっては29.85%と、ほぼ3割を外資に握られている。メディアも利益を追求する会社なので、株主の「意向」が反映されることになる。世界の大手メディアは、もうすでに数個の資本グループによって支配されているらしい。「グレート・リセット」を推進する世界経済フォーラム(ダボス会議)を支援する資本グループと世界的メディアを支配する資本グループが同じだとしたら、世界を「グレート・リセット」への流れに向かわせることも可能だろう。グローバルエリートによる「愚民」の管理は、そう遠くない現実なのかも知れない。
存在していますか?見えていますか?
クリスチャンの障害者施設、「ホサナホーム」の入居者が、こう言ったそうだ。「自分は社会から見えているんだろうか?存在しているんだろうか?」と。捨てられている孤独。理解されない孤独。誰にも相談できない人達。社会から孤立して一人で悩んでいる人達も多い。そして、知らされていないので、その人達の問題は他の人達には「存在」していない。
そんな中で、神が全てをご存知であるという事実は、何という慰めだろうか。「神が愛である」とは、神は全ての人の状況を「ご存知」だということだ。漏れている人はない。神が知らなかった問題はない。そして、神は祈りの人を配置される。祈ってくれる人がいたら、どんなに慰められるだろうか。
それにしても、私たちが日頃、TMCエクレシアで、祈りの課題を出し合って祈り合えることは、何と幸いなことだろう。「信頼」できる人たちに「知られている」ことは幸せだ。そんな輪が細胞のように広がっていって欲しい。
片手に「聖書」、片手に「情報」。「知ること」が第一歩。必要を見ること。必要を見ると、祈りが始まる。「知ること」も愛なのだと思わされた。
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意味ある人間関係と祈りによって深まり広がるキリスト中心のコミュニティ
東京メトロ・コミュニティ
Tokyo Metro Community (TMC)
執筆者:栗原一芳