2022年4月21日木曜日

約束の地(1)


創世記から黙示録までの神の物語を理解する上でイスラエルの歴史を知ることが大変重要です。イスラエルの動きは「世界の時計」とも言われ、聖書預言がどこまで進んでいるかを知る手がかりともなるからです。1948年5月14日にベン・グリオン(イスラエル初代首相)により独立国家宣言がなされたことにより、時計の針は大きく動きました。神はどのようにイスラエルを選び、導いてこられたのか?そして、今後、どうなるのでしょうか・・・?

 

アブラハムの召し(アブラハム契約)

駐日イスラエル大使館のホームページにはこう記されている。「ユダヤ民族の歴史はおよそ4000年前(紀元前17世紀)に、族長であるアブラハム、その子イサク、孫のヤコブから始まりました。」

 

創世記1章から11章までは全人類の起源と歴史。12章からはアブラハムという人物にフォーカスされる。この時点ではイスラエルという国家は誕生していない。カルデアのウル(月神礼拝が盛んな町)から出て「約束の地」カナンへの旅が始まる。神はアブラハムに個人的に語り、祝福し、アブラハムを召し出した。(創世記12:1−3)「あなたを大いなる国民とする。あなたを祝福する。」は神からの一方的な契約である。さらに15章18−19では、「土地の契約」を結び、エジプトの川からユーフラテスまでの地を与えると約束される。ちなみにイスラエルは歴史上まだ、この約束された大きさの領土を所有したことがない。ただ、神の約束は必ず成就されるので、これは「千年王国」において実現するものと思われる。神は先に生まれたイシュマエルではなく、「信仰の子」イサクを正式な契約の継承者とする。

 

ヤコブと12人の子供〜イスラエル12部族

神はイサクの子供のエサウ(兄)を退け、ヤコブ(弟)を契約の継承者とする。「押しのけ屋」のヤコブはヤボクの渡し場で神と格闘し砕かれる。そして、ヤコブは「イスラエル」と呼ばれるようになる。(創世記32:25−28)ヤコブの12人の子供たちがイスラエル12部族となっていく。ヤコブに愛されたヨセフは兄たちに妬まれ、エジプトに売られてしまう。ヨセフは神の恵みによりエジプトの監督官となり、大飢饉の備えをする。やがて父ヤコブと兄たちの家族70人を引き取りエジプトでの生活が始まる。

 

モーセと出エジプト

やがてヨセフを知らない王の時代になり、イスラエル人は奴隷として苦痛を強いられる。400年の奴隷生活の後、神はモーセをお立てになり、すでに300万人近くになっていたイスラエルの民を力強い御手を持って出エジプトさせる。神の裁きが門柱に羊の血を塗ったイスラエルの家々を過ぎ越した事を記念して「過越の祭り」(ペサハ)が、今日も行われている。新約的には「罪なき子羊」イエスの十字架での贖いと罪の赦しを示している。

 

荒野生活とシナイ山での十戒

「出エジプト」したイスラエルは、荒野で40年間、神の民としての訓練を受ける。神のために分かたれた(聖なる)民であることの意識付けがされる。シナイ山で律法が与えられ、幕屋での礼拝、罪の贖いの捧げものの規定などが教えられる。律法が与えられたことを記念して「7週の祭り」(シャブオット)が今日も行われている。新約では内側に書かれた律法、聖霊の降臨を意味するペンテコステ(五旬節)として知られている。

 

神は契約の神である。申命記は宗主権契約の形で書かれており、神に従えば「祝福」、逆らえば「呪い」が宣言される。神が共にいることにより、神に特別に扱われる民となる。(出エジプト33:16)ただし、イスラエルが選ばれたのは優れていたからではない。(申命記7:7−11)実際、イスラエルは神に逆らい、偶像に陥る「うなじのこわい民(頑固)」であった。「出エジプト」した世代は不信仰のゆえに荒野で死に絶え、次世代がヨシュアに導かれ約束の地に入ることになる。この荒野での仮庵生活を記念して「仮庵の祭り」(スコット)が今日でも行われている。これはまた「約束の地」への約束でもあり、新約ではメシア王国=千年王国を示している。

 

カナン侵攻

約束の地、カナン征服には2段階ある。まず、ヨルダン川の東側。エドム(イサクの長男エサウの子孫)、モアブとアモン(アブラハムの甥のロトが娘たちと設けた子供達の子孫)とは戦わないように主から命じられる。(申命記2章)さらに北部にあるヘシュボンの王、シホンとバシャンの王、オグの地は占領し、その土地を所有せよとの命令が下る。(申命記2章−3章)イスラエルは神の約束を信じ、侵攻し、その地の全ての町を攻め取った。このことが成功体験となって、勇気付けられ、ヨルダン西岸へと進んでいく。ヨシュア記には、有名なエリコの戦いやアイでの事件が記されている。ヨルダン川東側はルベン族、ガド族、マナセの半部族が占有するようになる。(申命記3:13)このように、確かに主が共にいた故に、「約束の地」を占領したイスラエルだったが、それは一時的であり不完全なものであった。(ヘブル4:8)新約的には、これはメシア王国=千年王国にて完全に成就する。

 

士師記の時代

イスラエルは約束の地、カナンを占領した。当時、イスラエルは神政政治であり、この時代、「士師」と呼ばれるリーダーによって統括されていたが、王はいなかった。それで人々は自分の目に正しいと思うことを行なっていた。ヨシュアの前で主への忠実を誓ったイスラエルだったが、(ヨシュア24:18−24)早くも契約違反をし、主の命令から逸れてしまい痛い目に合う事になる。(士師記2:19−21)周辺国に真の信仰を輸出するのでなく、周辺国の偶像礼拝を輸入してしまった。その結果、霊的に暗黒状態となり、イスラエルの歴史上、最も暗い時代となった。やがて人々は王を求め始めた。

 

 

ダビデ王国(ダビデ契約)

神は不本意ながら王を立てることを許し、初代の王、サウルが立てられるが、神の目に叶わず、2代目ダビデが立てられる。ダビデは基本的に神に従い、祝福を受け、王国が確立される。そして「とこしえに続く王座」(第一歴代17:14)を約束し、いわゆる「ダビデ契約=メシア王国の預言」が語られる。日本人が面食らうマタイ1章の系図は、ユダヤ人に、メシアであるナザレのイエスが、ダビデの子である証明をするための重要な記述だったのだ。今日のイスラエルの国旗には「ダビデの星」が描かれている。



いかにダビデが重要人物であったかを示していると言えよう。イエス時代のユダヤ人は、この「メシア王国」到来の大いなる期待を持ってイエスを見ていたことが分かる。

 

(続く)

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さらに学びたい人に

「1日でわかるイスラエル論」中川健一著 ハーベストタイムミニストリーズ

 

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執筆者:栗原一芳

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