ソロモンと南北朝時代
ソロモン王時代に神殿が建てられ、立派な奉献礼拝をし、民は神への忠誠を誓った。しばらく安泰な王国が続いたが、ソロモンが外国の女性達を妻にすることにより偶像礼拝が侵入した。その後、王国は北朝イスラエル、南朝ユダと二分される。どちらも偶像にまみれ、ついにイスラエル王国はアッシリアに、ユダ王国はバビロニアに捕囚となって連れ去られてゆくことになる。契約違反(呪い)の結果である、「土地」と「安全」(申命記6章)を失うこととなった。
バビロンからの帰還と町の再建
契約違反の結果を刈り取ったイスラエルだったが、憐れみ深い神は70年後にバビロニアからの帰還を許す。捕囚という「さばき」の期間を通して神への忠誠を学んだイスラエルは、その後、偶像礼拝に陥ることは無くなった。帰還後、城壁を再建し、町を再建し、神殿を再建した。
旧約・新約の間の中間時代(400年)
時代は、バビロニア帝国からペルシャ帝国、そしてギリシア帝国と移り変わってゆく。アレクサンダー大王の後、国は4分割されたが、イスラエル地域を統括するシリア・セレウコス朝のアンティコス・エピファネスがエルサレムの神殿を汚す事件が起こる。時代は、さらにローマ帝国の時代へと移り、ギリシア語が公用語となる。この時代、「70人訳」と言われる旧約聖書のギリシア語版が作られる。パリサイ派やサドカイ派、最高議会のサンヘドリンなど、ユダヤ教社会の基盤が作られていく。
イエスの時代
時代はローマ帝国の時代。このように常に帝国の支配下にあったイスラエルがどんなに平和で安泰な独立主権国(メシア王国)が到来することを願っていたかが分かる。バプテスマのヨハネも、イエスもユダヤ人には「御国の福音」を語られた。ダビデのような王が治める「メシア王国」が念頭にあるユダヤ人には、すぐにピンときた訳だ。しかし、メシアはまず受難のメシアとして人類の罪を負い、十字架で死ぬ必要があった。世の終わりに再臨のメシアは「王」として来られ、メシア王国=千年王国において、「王」として君臨し、世界を治める。しかし当時のユダヤ人指導者達は、この真理を見抜けず、イエスを排斥してしまう。これがAD70年のダイアスポラ(ユダヤ人の世界離散)へとつながることになる。実際はAD70年の第一次ユダヤ戦争に続き、メシア=政治的解放者と呼ばれたバルコクバの乱(第二次ユダヤ戦争AD132-135)を経てイスラエル国家は完全に壊滅し、世界への離散となる。神=メシアであるイエスを拒否した契約違反の結果、再び「土地=国」と「安全」を失うことになった。
世界への離散
ヨーロッパに流れて行ったユダヤ人(アシュケナジー)、中東に流れて行ったユダヤ人(ミズラフィ)そして、スペイン、アジアに流れて行った(スファラディ)と呼ばれるユダヤ人がいる。こうして約1900年もの間、国を失い世界に離散した生活をすることになる。
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置換神学
この間、あまりにも長い間イスラエルは国を失った状態が続き、再び国を再建することは不可能に思われた。そこで、新約聖書の「イスラエル」に関する記述を「教会」と解釈する「置換神学」が現れた。しかし、神の賜物と召命は変わることがないのであり、(ローマ11:29)神のイスラエルへの契約も変わることがない。ローマ書11章を見る限り、新約時代にあってもイスラエルの特別な「アイデンディディ」と「役割」があることは明白だ。黙示録7章の14万4千人のイスラエルの子らの記述は、イスラエルの「あらゆる部族」と明確に書かれており、これを「教会」と解釈するのは難しいと思われる。
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シオニズム運動とイスラエル国家再建
19世紀末、パレスチナはオスマン帝国の支配下にあったが、その頃からイスラエル人のパレスチナ入植が始まった。彼らは不動産取引により土地を購入していった。(従って、そこに住んでいたパレスチナ人を追い出した訳ではない!)オスマン帝国も彼らの入植を制限しなかった。その後、パレスチナ支配は大英帝国に移る。第一次世界大戦からシオニズム運動(イスラエルへの帰還)がさらに盛んになる。英国は国連にパレスチナ分割決議案(アラブとイスラエル2国家建設の認可)を提案し、1947年11月29日に採択される。この当時、すでに米ソ冷戦時代。彼らが共に同意することは奇跡であった。このように、イスラエル国家は国連の認可の下、始まっている。この決議により、英国の委任統治は終了。その後、英国は手を引くが、アラブ諸国は反対したまま、1948年5月14日にイスラエル建国宣言がなされるやいなや、15日に、イスラエル独立に反対するエジプト、サウジアラビア、イラク、シリア、トランスヨルダン、レバノンのアラブ諸国連合がイスラエルに進撃。これが第一次中東戦争。この後、しばらく周辺アラブ諸国との衝突が続く。
(続く)
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さらに学びたい人に
「1日でわかるイスラエル論」中川健一著 ハーベストタイムミニストリーズ
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執筆者:栗原一芳
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