2023年6月15日木曜日

反キリストの帝国(2)

 反キリストの帝国(2)〜ダニエル書の預言から

 

ダニエル9:2426(新共同訳)

お前の民と聖なる都に対して七十週(490)が定められている。それが過ぎると逆らいは終わり罪は封じられ、不義は償われる。とこしえの正義が到来し幻と預言は封じられ最も聖なる者に油が注がれる。 これを知り、目覚めよ。

 

エルサレム復興と再建についての御言葉が出されてから油注がれた君の到来まで七週 (49年)あり、また、六十二週(483)あって危機のうちに広場と堀は再建される。 

 

その六十二週のあと油注がれた者は不当に断たれ、都と聖所は次に来る指導者の民によって荒らされる。その終わりには洪水があり、終わりまで戦いが続き荒廃は避けられない。 

 

62週と7週はつながっている!

今回、意図的に新共同訳を使ったのには訳がある。7週と62週はつながっているのだ。しかし、新改訳2017年版では7週と62週を完全に分けて訳しているので、時系列が滅茶苦茶になってしまい、意味が分からなくなっている。大変、残念。

 

New International Versionはこうなっている。ヘブル語の「週」という言葉は

「7」を意味するので、この訳は非常に正確と言える。

 

There will be seven “sevens”, and sixty-two “sevens”. (NIV)    

 

すなわち、7週x7年=49年 62週x7週=424年  

7+62週=49週=483年となる。

 

原語に忠実と言われているNew King James Versionでは、こうなっている。

 

To restore and build Jerusalem until Messiah the Prince, there shall be seven weeks and sixty-two weeks. (New KJV) 

 

そのまま日本に訳すと、「エルサレムの復興、メシアが来るまで7週と62週 (69週=483年)ある」ということになる。

 

はじめの69週はすでに起こった。

アルタクセルクセス王からネヘミヤにエルサレムの町の復興の許しが出た年紀元前445314日)から7週(49年)で町が復興し、さらに62週でイエスの地上での活動の時代となる。そして、メシアが断たれ(すなわち、イエスの十字架の死)、そして、ローマ軍のエルサレム侵入。

 

次に来る君主(ローマ皇帝)の民が、都と聖所を破壊する。(AD70) その終わりには洪水(大軍)が伴い、戦いの終わりまで荒廃が定められている。

 

その後、ブランクの時代(今の時代)。まだ最後の7週が始まっていない。

 

患難期7年間の根拠  69週プラス1週=70週

 

彼は一週の間(7年間)、多くの者と堅い契約を結び、半週の間、いけにえとささげ物をやめさせる。忌まわしいものの翼の上に、荒らす者が現れる。そしてついには、定められた破滅が、荒らす者の上に降りかかる。

                   (ダニエル9:2527)

 

「彼」は文脈上、次に来る君主、すなわちローマ皇帝のことであり、終末時に現れるローマ人の末裔である反キリストのこととなる。反キリストはイスラエルの「多くの者」と安全保障条約を結ぶものと思われる。その条約の下、神殿が再建されるのではと考えられる。

 

最後の1週が起こるための2つの条件

1)契約の相手であるイスラエルが再建されている。

2)患難期中間(3年半)までに、神殿が再建され、捧げものが捧げられてい

  る。

 

「定められた破滅が荒らす者の上に降りかかる」

 

反キリストは滅ぼされる。ダニエル2章、7章、8章、そして、この9章で、また10章41−45で、反キリストの出現とその帝国という同じテーマが違う表現で繰り返し出てくる。そして、その最後は滅びであることも繰り返し述べられている。特に12章7節から13節では、反キリスト帝国の滅びの後に、迫害の時代が終わり、「休みに入る」、(12:13)すなわちメシア王国=千年王国が実現し、全ての事が成就(12:7)することが示唆されている。

 

「イスラエル建国」で駒が進んだ

1948年5月14日にイスラエル共和国の建国宣言。反キリストが契約を結ぶ相手ができたということ。現在、神殿建設の準備も進んでいるという。

 

   黙示録6章の封印を解く出来事は、ユダヤ人の多くが反キリストと安全保障契約を結ぶ時点で起こる。つまり、7年の患難期の始まり。

   これはダニエル9:27の70週目にあたる

 

さらに患難期前に起こると思われる「エゼキエル戦争」(エゼキエル書38章)も、現在のイランとイスラエルの緊張関係、強硬派の指導者と、孤立化が進むイスラエル、米国の中東における存在感の薄れを見るとき、現実化してきているように思える。中国が仲介して、中東の盟主サウジアラビアとイランの関係が回復。アブラハム合意で一度はイスラエルと親和的になった中東諸国が距離を取り、イスラエルが、さらに孤立化する傾向にある。また、トルコでエルドアン大統領が再選された事で、反欧米のロシア、イラン、トルコが、さらに連携を深める可能性が高まった。

 





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執筆者:栗原一芳

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