2023年6月8日木曜日

反キリストの帝国(1)

 

黙示録を理解するには旧約の預言を理解しなければなりません。また旧約の預言も黙示録が無いと尻切れトンボになってしまいます。預言?とあまり興味がない人がいるかも知れません。しかし、聖書の約3分の1(80%)が預言と言われています。聖書は単なる道徳の本ではありません。預言を通して人類歴史に神がどう働いているのか実際に見ることができるのです。黙示録には「反キリスト」なる人物が地上を支配し、王国を築くことが記されています。しかし、これは、すでに今から2600年ほど前に書かれたダニエル書に記されていたのです。

 

ダニエル2章 「巨像の夢」

ダニエルはネブカドネツアル王の見た「巨大な像」の夢を解き明かします。その像は・・・頭は純金、胸と両腕は銀、腹とももは青銅、すねは鉄、足は一部が鉄、一部が粘土でした。



第一帝国 頭は金:バビロン帝国

第二帝国 胸と両腕は銀:メディアとその属国であったペルシア。

     やがて2つ(両腕)がメド・ペルシア帝国となりペルシアが力を持

     つようになる。その通貨は銀だった。

第三帝国 腹とももが青銅:ギリシア帝国。アレクサンダー大王の死後、4人

     の王が立つが、結局、最終的に2つ、南の王エジプトのプトレマイ

     オス朝と、北の王シリアのセレウコス朝が残り両勢力が対抗し合う。     

     これに関して11章で詳細が描かれている。それで「両もも」。

第四帝国 鉄のように強い国。ローマ帝国。2本の足、つまり東西にローマ帝

     国は分裂する。さらに時間軸が進むと、終末の帝国の記述になる。「足」

     で表される第四の帝国はローマの末裔でありながら、終末の世界大

     の帝国を表している。足には10本の指があるように、終末の反キ

     リスト帝国は10の王からなる。しかし、その結束力はもろく、最

     終的には、3つが倒れ、7つの王国の連合体となる。

第五帝国 天の神が起こされる国。永遠に滅びない国(メシア王国)。1つの石

     が人手によらずに切り出され(天から来られるキリスト)、その像の

     鉄と粘土の足を粉々に砕く。反キリスト帝国は跡形もなくなる。聖

     徒たちがキリストと共に「御国=千年王国」を受け継ぐ。

 

ダニエル7章 「4頭の獣」

これらは海(異邦人の地)から上がってきた「大きな獣」(帝国)であり時系列的に出現している。前に見た「巨像」(歴史に現れる帝国)を違う描写で描いている。



第一の獣:獅子  バビロン帝国

第二の獣:熊   メド・ペルシャ帝国

第三の獣:豹   ギリシア帝国

第四の獣:前に現れたすべての獣と異なる。10本の角

 

この第四の獣が終末時に現れる「反キリスト帝国」だ。10の王国(支配エリア)からなるが、その中の1本の小さな角(7:8)が反キリストで、逆らう3本の角(王)が砕かれ、最終的に7人の王が反キリストに従う。この角は大言壮語し、大いに高ぶる。(7:8)角は「獣」と称されるが、この獣=反キリストは殺され、滅ぼされ、燃える火に投げ込まれることが預言されている。(7:11)これは黙示録の19:20に呼応している。

 

ダニエル7章の19節以下では第四の獣(反キリスト帝国)についてさらに詳しく述べている。「他のすべての獣と異なって」と、その特異性を強調している。単なる歴史に現れた「帝国」とは質とレベルが違うのだ。一部、ローマ帝国にかぶるところもあるが、「全土を食い尽くし」(7:23)と世界大の帝国であり残忍さも強調されている。また、21節「その角は聖徒たちに戦いを挑み、彼らに打ち勝った。」とあり、迫害が強まり、主の再臨(22節)までは殉教者が出ることも預言されている。25節には「反キリスト」的性格が描写されており、また反キリストによる激しい迫害期間が、「3年半」であることも分かる(25節)黙示録では13:5—6に「42ヶ月」というフレーズで、平行記事が書かれている。

 

ダニエル7:26−27節には反キリストの滅びと千年王国の成就が記されており、これは黙示録の19章の終わりから20章と連結している。

 

「聖徒たちが国を受け継ぐ時期が来た」(7:22)とある。「天国に行く」とはニュアンスが違う。ダニエル7章は4つの歴史上の帝国の話のコンテキストであり、「地上の国」の話をしていることに注意。7章は勝利宣言で終わっている。反キリスト帝国は滅ぼされ、聖徒たちが地上で「御国」を受け継ぐ。(黙示録20:6)

 

しかし、さばきが始まり、彼(反キリスト)の主権は奪われて、彼は完全に絶やされ、滅ぼされる。 国と、主権と、天下の国々の権威は、いと高き方の聖徒である民に与えられる。その御国は永遠の国。すべての主権は彼らに仕え、服従する。

                     (ダニエル7:26−27)

 

 

ダニエル8章に見る反キリスト帝国

ダニエル7章23〜26節からは終末預言になっている。

 

彼らの治世(異邦人帝国)の終わりに、その背くものたちが行き着くところに至ったとき、(異邦人思考=反キリスト的なものの究極)横柄で策にたけた一人の王が立つ。(最終的で究極の反キリストなる人物)

 

歴史上、シリアのアンチコス・エピファネス、ローマ皇帝ネロ、ヒットラーのような「反キリスト的」人物はたくさん現れたが、最終的、究極の「反キリスト=The Beast」なる一人の人物が現れる。

 

この人物は「策にたけて」いるので、世界中を知らずして統制・支配してゆく。量子コンピューターとAIにより技術的には可能となってきている。反キリストは、最初、世界の諸問題を解決し、ヒーローとして活躍するだろう。

 

彼の力は強くなるが、自分の力によるのではない。(サタン『竜』が背後にいる。)

彼は驚くべき破壊を行なって成功し、有力者たちと聖なる民を滅ぼす。

 

サタンに操られる「反キリスト=獣」は、次第に本性を現し、世界の権力者を支配下に収める。そして、「聖なる民=イスラエルの民」を滅ぼしにかかる。聖なる民の存在が無くなり、霊的覚醒が無くなれば、再臨を阻止できる。再臨が無ければ、サタンは滅びを免れる。それで、患難期、サタンは聖なる民を絶滅すべく、激しく攻撃する。この時期、14万4千人のユダヤ人宣教師やエルサレムでの二人の証人の宣教活動でイエスをキリストと信じるユダヤ人が多く起こされるが、迫害も厳しく、多くは殉教するものと思われる。

 

狡猾さによって、その手で欺きを成し遂げ、心は高ぶり、平気で多くの人を滅ぼし、君の君に向かって立ち上がる。

 

その特徴は「高慢」であり、神に公然と歯向かう姿勢である。(7:25)

 

しかし、人の手によらずに彼は砕かれる。

 

しかし、天から来られる再臨のキリストにより、滅ぼされる。

 

これはまだ、多くの日の後の事だから。

 

ダニエルは自分でも理解できない終末の預言を頂いたが、その預言は秘めておくよう告げられる(12:4)。黙示録ではヨハネは「預言のことばを封じてはならない。」(黙示22:10)と告げられる。「時が近づいているから」(黙示1:3)と言われた。

 

次回は、9章の「エルサレム」に対する70週の預言を見てみます。  

 

 

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執筆者:栗原一芳

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