霊的堕落のハム族
箱舟から出て来た、ノアの息子たちは、セム、ハム、ヤペテであった。ハムはカナンの父である。(創世記9:18)
と、わざわざハムについては、詳しく言及している。これには意味がある。ハムは父ノアの裸を見て、呪われ、その子孫が呪われた。「呪われよ、カナン」(創世記9:23)カナンからカナン人の諸氏族が生まれ出た。彼らの領土にはソドムやゴモラがあった。(創世記10:18−19)このカナン諸氏族は、のちにヨシュアが「約束の地」に侵入した時に、「聖絶」されている。呪いが実現された。ハム系はサタンに利用される霊的腐敗者となっていく。
最初の「反キリスト」 ニムロデ
ハムの子孫はクシュで(創世記10:6)、クシュの子がニムロデだ。(創世記10:8)そして、ニムロデは地上で最初の権力者になった。大洪水前には全ての動物は草食だったが、洪水後には肉食が許されるようになった。(創世記9:3)つまり狩猟が始まったのだ。ニムロデは力ある猟師(創世記10:9)となった。優れて猟師だったから民に食物を提供することができ、かつ、猛獣から民を守ることができたので、「権力者」となったのだ。彼の王国にバベルがあり、(創世記10:10)ニムロデの王国はシヌアルの地、すなわちバビロン地方にあった。(創世記10:10)
バビロンの語源はバベル。以降「バビロン」は、黙示録では「大バビロン」として、霊的腐敗の象徴として語られるようになる。ここが「反キリスト・スピリット」、偶像(諸宗教)のルーツなのだ。
ニムロデの指導の下にバベルの塔が建設された。「さあ、われわれは町を建て、頂が天に届く塔を建て、名をあげよう」(創世記11:4)神への挑戦であり、何なら神にとって代わることの宣言でもあった。これこそサタンの野望だったのだ。(イザヤ14:12−15)従って、ニムロデは患難期の獣=反キリストの最初のモデルとも言える。自分を崇める者達に食物と安全、すなわち「繁栄」を約束する。サタンが荒野でイエスに提案したように。(マタイ4:8−9)神なしの「繁栄」を、終末の「反キリスト」も約束する。まさにニムロデは、この世」の神(IIコリント4:4)となったのだ。
人々はニムロデを「食物の提供者」「命の守り神」として崇めるようになったのだ。
バビロン宗教の拡散
サタンはいつも真理のカウンターフェイト(偽造)を作る。マネする。神が三位一体であるように、バビロン宗教(宗教の起源)も3つの神からなる。ニムロデ(太陽神)、妻のセミラミス(月神)、そして息子のタンムズ(星の神)だ。
このタンムズはエゼキエル8:14に登場している。世界に見られる「太陽礼拝」、「月礼拝」、「星礼拝」は、ここから始まっているのだ。サタンが真の神から目を逸らすために、神に反抗的なニムロデ ファミリーを利用して、ニセ宗教を始め、それを世界に拡散してしまったのだ。
バベルの塔の裁きで言葉が混乱して以来、人々は分散して世界に広がってゆく。その時にバビロン宗教をも一緒に持ち出したのだ。太陽礼拝、月礼拝、星礼拝は全世界に、そして代々続いてゆくことになる。セミラミスは、バビロンでは「天の女王」と呼ばれたが、カナンとその周辺では「アシェラ」、ギリシア圏では、「アルテミス」、「ヘラ」エジプトでは「イシス」、そしてローマでは「ダイアナ」とか「マドンナ」とか呼ばれた。ちなみにオリンピックの聖火はギリシア・オリンピアのヘラ神殿で採火される。
占星術の起源は、星の神タンムズに由来する。ダニエル2:2での呼称「カルデヤの呪法師、呪術者」を見ても分かる通り、カルデヤ(バビロン)は占星術の代名詞となったのだ。21世紀の日本でも「星占い」が雑誌や新聞に載っているのを見るとその影響力の大きさに驚く。
ちなみに、世界保健機構(WHO)のマークは蛇が絡みついた杖だが、その杖を持つ、アスクレピオスとは、ギリシャ神話に登場する「天の星・蛇遣い座の守護神」で医学の神といわれている。その杖が医学の象徴となり、現在は世界保健機構(WHO)でも採用され、ヘビと杖は国際的に共通のものになったという。つまり、起源は「星の神」、タンムズだ。率直に、このマークが気持ち悪いと感じている人もいる。サタンは自分を拝ませたいために、多くの宗教の偶像に「蛇」や「竜」を登場させている。
アッラーは月の神?!
多くのイスラム国の国旗に星や月が多いのに気づく。驚くべきことにアッラーは唯一神ではなく、もともと「月の神」だったという証言もある。
「モハメッドは、その当時広く広まっていたユダヤ教徒とキリスト教から唯一神の概念を学んで、月の神、アッラーに適用した。自分が住んでいた地域の最高神であった月の神アッラーを唯一の神とし、カバー神殿のその他360個の偶像は全て破壊した。この過程を見ると、イスラム教のアッラーの神はモハメッドが生まれるずっと前からアラビア地域で広く崇拝されて来た最高の偶像の中の1つすぎないことがもう一度証明される。アッラーの神は、表面から見ると男の神であるが、その本質は月の神、セミラミスなのである。」(p152)*
つまり、アッラーはイスラム教が創設されるずっと以前から中東地域で崇拝されていた「月の神」の呼称だったというのだ。そして「月の神」の起源はセミラミス、ニムロデの妻が神格化されたものだった。
このような真の神からの堕落としての諸宗教という考えは、現代、まかり通っている宗教多元主義(すべての宗教を横並びに置く)とは対極にある。
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参考本
「宗教の起源」 トーマス・ファン AMI日本宣教会
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Tokyo Metro Community (TMC)
執筆者:栗原一芳