前回は1。聖書を「世界観、歴史観」として読む、 2。聖書を「救いのストーリー」として読むことを取り上げました。今回は聖書を読み解く鍵となる「神の国」の理解です。
3. 聖書を解く鍵〜「神の国」
神の国とは何でしょうか?「神の国」、「天の御国」、「御国」は基本的に「神の支配」を意味する同義語です。英語ではKingdomです。ですからそこには「King=王」がいます。誰がこの世界の「王」なのかが重要です。このテーマは、歴史の中で漸進的(Progressive)に展開してゆきます。
神は創造主であり、全宇宙(被造物)は神の支配の下にあります。その意味で元々、全宇宙は神の国です。神が真の王なのです。
しかし、歴史は、その王座を奪おうとする戦いの歴史です。サタンにより罪が入り、人が神を押しのけて王になることを欲したり、神でない偶像を礼拝したりするようになるのです。現在でも人は神を排除し、神なしで世界を統治しようとしています。唯物論や、進化論で神を抹殺しようとしています。戦いは続いているのです。旧約時代のイスラエルでは、神が治める国家=神政政治を通して神の国の雛形をお示しになりました。
やがて預言通りキリストが来られ、贖いの御業を十字架で成し遂げ、聖霊が降り、教会時代が始まりました。新約時代の教会を通して「奥義としての御国」が実現したのです。この時代、教会(神の国)では選民、異邦人の壁は崩されています。性別、人種、地位を超えてキリストの体が形成されています。十字架の下に「信仰による神の家族」が実現したのです。
これは、やがて地上に実現する御国=メシア王国=千年王国の前味でもあります。今の時代は「麦」と「毒麦」が共存する時代です。悪の勢力は増大します。そして、艱難時代には反キリスト(獣)が王となってこの世を支配します。獣の王国です。しかし、その時代は長くは続きません。キリストは来臨し、反キリストを滅ぼし、王として聖徒達と共に全地を治めます。これがメシア王国=千年王国=御国です。その時代の終わりに、サタンは滅ぼされ、呪われるものが全く無い新天新地(完成された御国)が訪れます。もはや、神の王座を狙うものはいなくなるのです。このように歴史は王座争いであることが分かります。
ちなみに、死んだクリスチャンが行く「天国」と私たちが呼ぶところは、「パラダイス」のことで、キリスト地上再臨までの一時的休息場と考えられています。単に「神の国=天国」ではないことを理解することが重要です。
まとめてみますと・・・神の国は、
● 全宇宙は、神の被造物なので、元々「神の国」
● 神はイスラエルを選び、神中心の政治形態(神政政治)を通して「神の国」を表された。ただし、これはイスラエルの不信により失敗に終わっている。
● キリストの十字架により隔ての壁が壊され、キリストの体としての
教会を通して、人種、文化を超えた「神の国」が現在、表されている。
● やがて地上では獣(反キリスト)が王権を握り世界を支配するが、キ
リスト来臨により滅ぼされ、キリストが直々に治める「メシア王国=千年王国」が実現する。これにより可視的な「神の国」が実現する。
● 千年王国後、最後の敵であるサタンとハデスが火の池に落とされ、白
い御座の裁き(最後の審判)を経て、「新しい天と新しい地」が創造され、そこに贖われた者たちが復活の体を持って永遠に住むことになる。これが最終的な「神の国」
(次回に続く)
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意味ある人間関係と祈りによって深まり広がるキリスト中心のコミュニティ
東京メトロ・コミュニティ
Tokyo Metro Community (TMC)
執筆者:栗原一芳
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