日本の教会は衰退期?!
東京基督教大学(TCU)国際宣教センター日本宣教リサーチ(山口陽一代表)がデータブック「神の国の広がりと深化のために――データから見る日本の教会の現状と課題」を発行しました。発行人である代表の山口氏(TCU学長)は「日本の教会は、教勢データから見るかぎり、『停滞』を通り越して『衰退』に入っています。」と率直に現状を評価しています。礼拝出席30人以下の教会が過半数。牧師の平均年齢(全国)は62.2歳だといいます。どうも明るい未来は見えませんね。特に会堂を持っていると、それを維持するのも困難になります。
希望を示す事実
同時に、キリスト教系学校の学生・卒業生や聖書の読者、キリスト教社会福祉事業所の関係者、クリスチャン作家の読者など、「現実的に教会に繋がっていたりしなくとも、キリスト教に対して好意的な人」が「30%以上」いるというデータも示しています。これは励まされる数字ですね。
また、教会に所属はしないが、キリスト教に愛着や親近感を持ち、個人的には信仰を持ちつつも組織的な所属をしない人々=「所属なき信仰」が、かなりの数いるという事です。これはチャンスです。これらの人々は、組織としての教会には興味がないし、教団や教派にも興味がないのです。宗教的要素をなるべく排除した「キリスト中心のコミュニティ作り」つまりは、オーガニックチャーチが求められているのではないでしょうか。もともと、教会は会堂や組織ではなく、「キリストの体」であり、「キリストの充満」です。(エペソ1:23)
また、「宗教には否定的、スピリチュアルには関心あり」の日本人の傾向も付け加えておきましょう。マスコミも「宗教」は叩くのに、スピリチュアルは怪しげなものも多いのに、叩かれません。占いやパワースポットは堂々と報道され、行われています。クリスチャンになるとは「御霊」を頂くことで、霊的な事象です。クリスチャンこそ本家本元のスピリチュアルなのです。組織的、儀式的なアプローチよりスピリチュアルなアプローチがもっとあっていいのかも。
これらのデーターから見る方向性
関心のある人がいる限り、最大限、インターネットやSNSを用いて、福音の種を蒔く事です。(ただし、異端的教えの動画もあるので注意が必要!)最近は若い人を含め多くのクリスチャンYoutuberが登場し、福音を語っていますね。メッセージの賜物のある人はどんどん発信したらいいと思います。
逆に言うと、もう国内外含め多様なメッセージをオンライン上で選択して聞けるので、日曜の朝、会堂に言って聞く必要がなくなったとも言えます。若い人の間ではスマホ礼拝が増えるでしょうね。コロナで多くの信徒がそれを発見し、会堂教会に戻ってこない信徒が多いと聞いています。ただ、孤立クリスチャンや、根無し草クリスチャンは良くありません。コミットできる信仰の仲間は必要です。
つまり、スモールグループ(オンラインも可能)でのエクレシア体験(お互いにを実践する場)が必要だという事です。お互いに愛することは主の命令です。(ヨハネ13:34)しかし、他の人格と触れ合うことなしに、「愛する」こと「仕える」ことは実践できません。スモールグループは彼らの生活圏内で実践できますし、彼らの生活スケジュールに合わせてやることができます。日曜朝10時に限らなくていいのです。
ともあれ、オンラインとスモールグループのコンビネーションがこれからの方向性のようですね。
オーガニックチャーチの仲間
私が関係しているオーガニックチャーチの仲間には色々な人達がいます。既存の教会をやりながらオーガニックチャーチを推進している人達。複数のオーガニックチャーチをやりながら、月1度セレブレーションとして合同礼拝している人達。TMCのように超教派的にオーガニックチャーチ(意味ある人間関係と祈りによって深まり広がるキリスト中心のコミュニティ)をやっている人達。TMCエクレシアの場合、大部分のメンバーは既存の教会の礼拝に参加している人達ですが、そうでない人達もいます。
既存教会に属さない人達を中心にスモールグループとしてエクレシアを持っている人達もいます。ファシリテーターは職業人として仕事しながら、SNSで「所属なき信仰者=野良クリスチャン(通称)」を集めてオンライン・エクレシアをやっています。必要な人に洗礼を授けたり、オンライン・エクレシアでパン裂き(聖餐)もやっています。つまり、そこが自分の所属のエクレシアになっています。その中には世の中に疑問を抱き、自分で聖書を読んでクリスチャンになった人達もいるのです。私の実感としても、そういう「所属なき信徒=野良クリスチャン」は、増えているのだと思います。
既存の教会に行かなくても、Youtubeのメッセージを聞いて、興味を持ったり、信仰を持ったりする人は、さらに増えるだろうと推測されます。そして、その人達もキリスト中心のコミュニティに連なる必要があります。スモールグループ・エクレシアの存在は、さらに必要になってくるでしょう。
オーガニックチャーチを推進する人々のゆるやかなネットワークも作られつつあります。人間関係を大事に、組織的というよりは、正にオーガニックに繋がり、広がってゆくものと思われます。
何れにしても、方向性は、インターネットで福音が広まり、救いが起こり、スモールグループ・エクレシアで弟子訓練がされていくという流れになってゆくのでしょう。
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意味ある人間関係と祈りによって深まり広がるキリスト中心のコミュニティ
東京メトロ・コミュニティ
Tokyo Metro Community (TMC)
執筆者:栗原一芳
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