イスラエルの神、主よ。天にも地にも、あなたのような神は他にいません。あなたは、心を尽くして御前に歩むあなたのしもべたちに対し、契約と恵みを守られる方です。
(II 歴代6:14)
これはソロモンが神殿の奉献礼拝をした時の祈りです。ここに、「神は契約と恵み」を守られる方とあります。「恵みの神」はキリストゆえに私たちにも慣れ親しんだ言い回しですが、神は同時に「契約」の神です。これは日本人には少し違和感があるかも知れません。
「契約」の神
「契約」は通常、ビジネスで使われる言葉ですね。同じII歴代6:11にはこうあります。
主の契約が納められている箱をそこに置いた。その契約は、主が、イスラエルと結ばれたものである。
神のご臨在を表す「契約の箱」は文字通り「契約」の箱なのであって、中には神との契約書である「十戒」が入っていました。それが聖所の中心にあったのです。そして、イスラエルは神と契約した「契約の民」だったのです。アブラハムが多くの国民の父となることは神とアブラハムの「契約」だったのです。(創世記17:4)また、エジプト川からユーフラテスまで(現在のパレスチナ)、アブラハムの子孫にその土地が与えられることも神とアブラハムの契約でした。(創世記15:18)
簡単に言うと神の契約はこんな感じです。従順なら「祝福」、不従順なら「呪い」なのです。祝福とは土地や国が確保され、敵から守られ安全が保障されること。子沢山になること。(申命記8:1)天候が守られ産物に恵まれること。反対に、不従順だと、呪われ、国を失い、敵に攻められ(申命記8:19−20)、不妊となり、自然災害が発生し、作物に害が出ることなどです。
契約なので「そうすれば・・・所有することができる。」、「もし・・・ならば、あなた方は必ず滅びる」という書き方になっているのです。シリアスな契約は「血」の契約です。日本でも「血判」というのがありますね。サタン礼拝者たちは動物の血を持ってサタンと契約します。旧約の大祭司は動物の血を携えて至聖所に入りました。契約違反は命が要求されます。命は血です。血を流すことなければ、罪の赦しはないという思想です。(ヘブル9:22)ですから罪なき子羊イエスが十字架で血を持って贖いを成し遂げたのです。
「恵み」の神
しかし、「契約」だけなら不完全な人間側は守りきれません。ソロモンはII 歴代6章で、それを確認しつつ、さらに進んで、「罪に陥らない人は一人もいません。」(6:36)と正直に告白し、悔い改めし(方向転換し)、心を神に向けるなら「罪を赦してください」と祈っています。契約違反した時の「恵み」による対処を請うているのです。
ソロモンはこの時点で、すでに民が罪に陥り、捕囚となる可能性を示唆しています。(6:36−37)そして、実際、ユダ王国の民はバビロンに捕囚となるのですが、神はこれを憐れみ、恵みを施し、捕囚を70年とし、ついには解放し、イスラエルの地に戻すのです。この部分は契約ではなく、恵みです。
罪は罪で精算します。「契約」通り、処罰します。しかし、そこで終わらず、今度は「恵み」を施し、その呪いから解放し、回復し、さらに良いものを与えるのです。捕囚後、イスラエルの民は再び偶像礼拝に陥ることはありませんでした。一度壊されたエルサレムの街は復興し、イエスが来られた時にはエルサレムに立派な神殿が建っていたのです。
「不従順」→「さばき」→「思い改め」→「赦し」→「回復」これが聖書に流れるパターンです。
アダムとエバが罪を犯し、死が入ったのですが、神はすでに創世記3:15節で罪の許しと死からの解放を宣言されています。これは先行する「恵み」です。私たちもそうです。すべての人は罪を犯した(ローマ3:9)のです。そして罪からの報酬は死なのです。(ローマ6:23)契約通り執行されれば、地球上に一人も生きている人はいません。しかし、処罰はイエスの上に為されたのです。契約は執行されました。しかし、「恵み」がさらに増し加わり(ローマ5:20)イエスを信じる信仰による「義」が提供されたのです。
まさにソロモンが祈ったように、神は「契約」と「恵み」を守る方なのです。
このパターンを理解することが、解放されたクリスチャン生活を送るのに大変重要です。
旧約から新約へ
さらに旧約と新約での「契約」の内容の変化を知ることが大切です。なぜなら、十字架以前と以後で、この「契約」の内容が変わったからです。これに関してはヘブル書全体で詳しく解説されています。次回、詳しく見ていきます。新約とは新しい「契約」のことです。新しい「契約」の下では、古い契約「旧約」の下にはいないのです。(ヘブル8:13)ですから旧約的な神へのアプローチをしてはいけません。キリストにあるものは、神の御前で、ステイタスが変えられているのです。
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執筆者:栗原一芳
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