2014年8月18日月曜日

兄の愛


ちょっといい話(1) 「兄の愛」


USAトゥデイ紙の国際政治面主筆でありピューリッツァー賞候補にも上がったジャック・ケリーは、次のように語っています。


われわれは飢饉のとき東アフリカ、ソマリアの首都モガデシュに行った。飢饉はきわめて深刻で、ある村にはいったときなど、全員が死亡していたほどだった。死臭が髪にも肌にもしみつき、洗っても落ちなかった。

 その少年に出会ったのはそんなときのことだった。彼は栄養失調と寄生虫のため、お腹がふくれ上がっていた。子供が栄養失調になると髪の毛が赤っぽくなり、皮膚はまるで100歳の老人のようにしわだらけになるのだ。

 同行していたカメラマンが、グレープフルーツを持っていた。この少年に与えようとしたのだが、彼はグレープフルーツをつかむだけの力もない。そこでわれわれはグレープフルーツを半分に切ってやった。彼はそれを取り上げると礼を言うかのようにわれわれの顔を見つめ、そして村へと歩き始めた。

 われわれはそっとあとをつけた。彼は村に入ったが、そこには小さな男の子が倒れていた。その目は完全に光を失っており、われわれは死んでいるものと思った。それは彼の弟だった。彼は弟のそばにひざまずき、グレープフルーツの一切れを自分の口に入れて噛んだ。それから彼は弟の口を開き、グレープフルーツを入れ、弟のあごを上下に動かした。彼が弟のためにもう2週間もそのような行為を続けていることをわれわれは知った。


 数日後、兄は栄養失調のため死んだが、弟はいのちをとりとめた。私はその夜、帰途の車の中で考えた。イエスが「人がその友のためにいのちを捨てるという、これよりも大きな愛はだれも持っていません。」とおっしゃったのは、まさにこのようなことなのだと。
                    
                     (月間クレイ2002年11月号より引用)

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人間関係と祈りで広がるエクレシア     東京メトロ コミュニティ (TMC)

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