2018年6月13日水曜日

東京変革のビジョン

衰退する伝統的教会=新しい皮袋の必要性

Peter Ward著「Liquid Church」によると欧米の教会は文化的遺産を残す「博物館」になるか、「信徒の逃げ場所」となりクリスチャン世界だけの守りの世界となるか、古き良き時代を懐かしむ「懐かしいコミュニティ」となるかだと言う。何れにしてもあまり前向きな希望は見えない。

人々が移動しなかった、またネットがなかった時代の「固定した教会」から柔軟な、言わば「液状教会」へ移行すべきだとする。情報(ワーシップソングやメッセージ)はネットで世界的に共有する。そして教会は小さなコミュニティとして散在し、機能するという方向性だ。

島田裕巳著の「宗教消滅」によると、2011年のフランスでは毎週一度教会に通っているフランス人は0.9%しかいないという結果が報告されている。ドイツも教会税のせいもあり、教会離れが進んでいる。またヨーロッパのイスラム化が懸念されているという。ラルフ・モア師によるとアメリカでさえ、ハワイ以外ではクリスチャン人口が増えていない。教会はもはや社会的インパクトを持っていないのだ。裏を返せば、人々は制度的教会に興味を失っているとも言える。人々の本当のニーズを満たせていない。



325年 コンスタンチンがキリスト教をローマ帝国の国教としてから、ダイナミックな影響力ある教会の姿が失われた。中世時代、異教の教えと偶像礼拝が教会に持ち込まれると聖霊は離れ去っていった。16世紀の宗教改革から次第に回復してきたと見られる。しかし、宗教改革でも十分の回復は見られず、20世紀に入って霊的ムーブメントが起き始め、今日やっと初代教会に学ぶムーブメントが始まっている。それは教会を組織と見ずに、家族として、コミュニティとして、また「生ける体=オーガニックチャーチ」としてみる動きだ。


 米国人牧師の窮状

「使徒的教会の台頭」(ロバート・ハイドラー著)によると・・・

  米国人牧師の80%、牧師夫人の84%が定期的な鬱で苦しんでいる。
  80%の牧師が牧師の資質に欠けていると感じており、牧師業務遂行に必要な能力や技能に欠けていると思っている。
  70%が牧師を辞めようと定期的に考えている。
  毎月1500人の牧師が燃え尽き、道徳的過失、教会内による争いが原因で辞職している。
  70%は友人と思える存在がいない。親しい友人はほとんどいない。
  75%が常にストレスを感じて生活している。聖職者向け精神障害保険の掛け金は一般業種より4%高い。
  77%は夫婦関係が良好でないと感じている。
  米国人牧師の半数が離婚している。

著者は伝統的な牧師中心の教会は牧師を破壊していると結論づけている。そして牧師中心の教会は機能不全の古い皮袋なのだと言う。ハイドラーが指摘するように、現在の牧師職には無理があるのではないか? 今までの教会モデル(1教会に1つの会堂を建て、一人の専任有給牧師を置き、彼が5役を担う)に限界があるのではないか?


使徒的教会と5役者

さらに著者は5役者の回復を主張している。5役者とはエペソ書4章11節に出てくる、「使徒」、「預言者」、「伝道者」、「牧師」、「教師」のことだ。キリストご自身がキリストの体(教会)を立てあげるため、これらの役者をお立てになったと明記されている。「牧師」だけではない。しかし、現実は米国でも日本でも「教会=礼拝=説教=牧師」のような構造になっている。そこで、著者は、もう一度、5役者を認知しチームリーダーシップとして活用できないかと提案している。





 チームで取り組む教会開拓

牧師一人ではなく、チームとして働くことも大事。開拓においては、チャーチ・プランティング・チームが必要なのだ。豊洲で展開するグレース・ハーバー・チャーチは日本人牧師と複数の宣教師からなるチャーチ・プランティング・チームで開拓を始めた。これにより宣教師、牧師の孤立化を避けられ、誘惑からも守られ易い。未信者へのコンタクト数も増え、コミュニティを形成しやすい。霊の戦いの激しい日本ではもったいないようだが、こういったチームでの開拓が必須のように思われる。神学校出た夫婦だけで開拓に遣わされるスタイルでは限界があるように思える。早稲田でオーガニックチャーチ開拓を始めたリーチ・グローバルも日本人牧師と宣教師というチームで開拓に取り組んでいる。

さらに複数の教会の牧師、教会リーダーを励ますコーチングチームのようなものも必要だろう。日本では保守バプテストの「バルナバミニストリー」がこれに当たる。


 大事なことはシンプル

マタイ28章の大宣教命令は「教会建設」命令ではなく、「弟子作り」命令である。そして、いわゆる成功している教会でも、IIテモテ2:2を実践して倍化する弟子を生み出している教会は実は少ない。その実績を持つラルフ・モア師の「弟子づくりをする弟子をつくる」セミナーに参加した。彼の弟子、ジョン・ハノルド師も同行しセッションを教えた。ハノルド師は大事なことはシンプルで、

Love God神を愛すること 
2。Love people 人を愛すること
  Make disciples 弟子をつくること 

(マタイ22:37−39、マタイ28:19−20に基づく)

だという。ただし、神を愛することは単なる知識ではなく、恋人を愛するように情熱的に愛する必要があるという。そして、隣人を愛することに関してラルフ・モア師は「あなたの2軒先の近所の人の家族の名前を言えますか?」とチャレンジした。隣人を愛するとは具体的には

1.      隣人を知り、その家庭に神の平安があるよう祈る。
2.      口先だけではなく、愛の行動を持って愛を示す。Show your love.
3.      時間を過ごす。食事を共にする。
4.      必要を知る。そのために祈る。(できればその場で)
5.      神の国について語る

この順番が大事だという。奇跡が起こっても愛がないなら意味がない。

弟子をつくることに関しては、まず弟子をつくる「決意」をすることが大事。そして、弟子になる可能性ある人と過ごし、意図的に訓練するのだという。

1.   I do it
2.   I do it with you
3.   You do it, I watch
4.   You do it.

神がその人のうちにしてくださっていることを見て祝福しよう。支配するのではなく、祝福して送り出そう。彼に「自由」を与えることも大事。エクレシアのメンバーは自分で新しくエクレシア(モア師はマイクロチャーチと呼ぶ)を始めることができる。




中国では文化大革命の後に宣教師が追い出され、希望は消え失せたかに見えたが、地下教会が広がり今や、1億以上のクリスチャンがいるとも言われる。聖霊のみわざと言う他ない。大挙伝道クルセードも、教会成長セミナーも、マーケット戦略もなかった。純粋な信仰と祈り、一人が一人に愛を持って福音を伝えていった結果だった。ハノルド師が言うように情熱的なキリストへの愛、隣人への愛というシンプルなクリスチャンの生き方に聖霊が働かれた。大事なことはシンプルなのだ。


 東京変革のビジョン〜ご提案

今日の日本の教会状況は危機的である。リバイバルどころかサバイバル状態なのだ。全国的に教会数も信徒数も減ってきている。銀行でも生き残りのためにプライドを捨てて合併する。キリスト教界も大転換が必要な時期なのではないか?どの教団であろうと、被災地では「キリストさん」「教会さん」と呼ばれた。99%の未信者には団体名、教団名など、どうでもいい。「神の国」メンタリティで初代教会に学びながら、団体、教団を主張することなく、全てのリソース(人材、経済)を投入して、継続可能かつ増殖可能な沢山のエクレシア(召会)を生み出すことを提案したい。

宣教団体、教団が協力して人材を提供。成熟したリーダーたちによる使徒的チーム(一応、そう呼びます。)を形成。使徒的チームは賜物を用い、互いに連携して個々のエクレシアを生み出し、既存のエクレシアを謙遜に心を込めてサポートする。個々のエクレシアはオーナーシップを持ち、独立しており、宣教団体や教団の名前を付けない。また、使徒的チームは賜物の活用、調整に努めキリストの体を強くする。また、社会的ニーズを見て、キリストの体の賜物を見て、コーディネートし、地域コミュニティ奉仕する機会をクリエイトする。これらの働きを一極集中と言われる東京で行うことで最大のインパクトを与える。東京を神の街に。東京が変われば、日本が変わる!


東京変革のビジョン
  小さい、たくさんのエクレシア(召会)が東京に散在する。
*それぞれのライフスタイル(政治家、芸術家、主婦)にあった時間帯、
 場所で集まる。
  それらが「祈り」と「地域宣教」の基地となる
マンションの部屋、オフィス、レストラン、生活の現場で集う
散在するエクレシアはインターネットで繋がる。
* 柔らかなつながり。組織にしない。
メッセージや資料、などリソースはネットにあげて皆で共有。
コーチング、ティーチングチームが各エクレシアに奉仕する
リーダーには常にコーチング、トレーニングの機会がある。
 社会のニーズに応えるべく関心ある人が集まり、大きな
    ミニストリー(社会奉仕)を展開する。教会の会堂にはお金をかけな
     いが、コミュニティ奉仕のためにはスペースを確保する。 
      
ポジションによる「支配」ではなく、賜物による「奉仕」。
       メッセージなど賜物がある人は同じ兄弟としてキリストの体を建て
    上げるためにどんどん、賜物を用いる。しかし、メッセージをする人
         が特別、偉いわけではない。


東京に御国を来らせ給え! 御心が天で行われるように東京にもなるように!
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参考本

「星のように砂のように」(ラルフ・モア著)



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意味ある人間関係と祈りで広がるキリスト中心のコミュニティ
東京メトロ・コミュニティ(TMC)
japantmc@gmail.com(栗原)
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