2013年4月27日土曜日

「メディア・テロの脅威とコミュニティ」



 最近、ツイッターで「オバマ大統領が爆破で怪我をした。」というデマが飛んで、2分間で140ドル、株が下がったそうです。1個人の発信が世界に影響を与えてしまう時代なんですね。また、サイバーテロという新しい形態の犯罪も増えてきています。犯人が特定しにくく、しかも標的型の攻撃が増えているのです。サイバーテロの一番の標的は防衛関係ではなく、実はエネルギー関係だそうです。約9割はエネルギーをねらったものです。町はスマートシティ構想でライフラインをインターネットで一括管理へと向かっているので、サイバーテロで町のライフラインがストップするという事態が考えられるのです。かつて地下鉄サリン事件や秋葉原事件を防げず、体験してしまった東京では、今後、サイバーテロや核テロが起らない保証はありません。それが宗教的信念によることもあるだろうし、まったく個人的な社会への恨みから起る事もある。こうしている今もカルト集団や個人が計画を練っている可能性もあるのです。

先日、北朝鮮のミサイル脅威の中、韓国に出張しました。その際、友人の韓国人クリスチャンに最近の教会の成長について聞いてみました。あまり芳しくないようです。理由は、キリスト教に反対するメディアの影響が大きいというのです。確かに、メガチャーチの不明朗会計や継承者の世襲問題など火種はあるのですが、それがツイッターなどで広まり、一般のメディアも書き立てるので、結果として、キリスト教会全体への不信を煽り、ネガティブなムードを作ってしまうというのです。

今日、悪意を持った人が、あるいは傷を負った人が自分を傷つけた(それが単なる思い込みであっても)教会や団体を潰すために故意にソーシャルメディアを使って悪い噂を流す事は、いとも簡単にできてしまうのです。それは個人間の問題に留まらず、すぐに世界にまで広がり影響を与えてしまいます。人から人への感染する鳥インフルエンザが世界的流行(パンデミック)となるように、悪いニュースもあっという間に広がってしまうのです。しかも、ツイッターの短い文章では説明も十分できません。短い明確なメッセージを出してしまった方が勝ちとなる可能性があります。ゆっくり正論を説明している間に噂はあっいう間に広がってしまう。今回、選挙でもインターネットやソーシャルメディアが解禁となり、政治家が自分のメッセージを気軽に発信できる便利さはあるものの、ツイッター炎上など負の影響も又、大きいことを知るべきでしょう。

新しい時代の脅威に教会も備える必要があるのではないでしょうか?教会に悪意を持つ人はソーシャルメディアを使って攻撃してくる時代なのです。もちろん罪が事実なら、罪を隠し通せないといういい面もあるでしょう。しかし、事実無根の噂が広められることも又、可能なのです。江戸時代、キリシタンは怖いもの、信じてはいけないものというイメージが植えられていったのです。田舎ではまだ、その後遺症があるようです。事実よりイメージが先行してしまうのです。今では、そのイメージ作りが簡単にできてしまうのです。ともあれ、今後、牧師、宣教師、教会員にどんなことが起るかわかりません。誘拐拉致事件の場合、犯人とのネゴシエーションを妨げないため、あるいは教職者の道徳問題などにつき教会員やクリスチャンの友達が勝手に余計なことを書き込まないように注意する必要も出てくるでしょう。危機は地震だけではないので、新しい時代のいろいろな危機に対する危機管理の必要が出て来ているようです。

それにしても、だからこそ、顔と顔を合わせての信頼の置ける関係、自分を理解し、味方になってくれる人達のコミュニティが大事になってくるのではないでしょうか。ウソが流布してしまった時「いや、あの人はそういう事はしない。」と一緒に立ってくれる人がいなければ、その勢いに押し倒されてしまうでしょう。真実よりも「ワンフレーズ勝ち」となってしまうことは怖い事です。インターネット教会の善し悪しの議論もありますがメッセージを聞くツールとしてはいいでしょうが、エクレシア(少人数で定期的に顔を合わせ、分かち合える関係)の代替にはならないのです。信頼はじっくり築かれる。ワンフレーズ、ワンクリックの時代だからこそ、時間のかかるコミュニティ作りの重要性が浮かび上がってくるのです。

さて、テロは人災であり、人災には人的要素、すなわち背後に犯行理由や動機があるのです。アメリカの殺人犯罪は圧倒的に「若い男性」によって起こされています。しかも、父親を知らない若い男性による犯罪が多いというのです。以下、アメリカ滞在の友人の牧師から送られて来た資料です。
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実際、全米で最も殺人の多いシカゴを例にとると、貧困地域に於ける若い黒人たちの80%は非嫡出子であり、父親を知らずに育ちます。統計を見るならば父親不在の問題は火を見るより明らかです。父親不在の家庭で成長した若い男性が刑務所に入る率は両親がいる家庭に比べ、二倍です。自死を選ぶ若者の63%、問題行動を起こす子供の85%、高校を卒業しない子供の71%、少年院に入る子供の70%は皆、父親不在の家庭で育っています。さらに向学心のなさ、性行動の低年齢化、性同一性障害、麻薬の常用、衝動的怒り等の問題どれ一つとっても父親不在と明確な関連があります。また父親不在の空白を埋めるようにしてギャングの親分や、過激な思想を植え付ける宗教指導者、大学教授が暗躍するわけです。父親不在が社会にもたらす影響については現在多くの研究がなされており、その全てが現代アメリカの社会問題は全て「父親不在」と連動していると結論づけています。

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あのボストンマラソンテロの犯人もロシアからの移民でアメリカ生活になじめなかった若者のようです。秋葉原事件の犯人も「孤独」という背景が浮かび上がってきます。「孤独は罪を呼ぶ」という言葉もあります。自分を拒絶した「社会」への憎しみが無差別大量殺人へと駆り立てます。彼らがスモールグループのコミュニティに繋がっていたならと思います。愛し、愛されるコミュニティを作ることは、社会の犯罪を減らすことに貢献することにもなるのです。東京砂漠に沢山の絆、すなわち顔と顔を定期的に会わせられるコミュニティを築いていくこと使命を感じています25年すると、男性の三分の一、女性の四分の一は、一人暮らしになるというのです。無縁社会と言われる中で、コミュニティ形成が大事になりますね。
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コメントお待ちしています。
asktmc@gmail.com (栗原)


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