よく、「教会の敷居が高い」と聞きます。実際、大多数の日本人(ノンクリスチャン)の方にとって教会は入りにくいところなんでしょうね。教会堂の建物は知っていても、あの壁の中でどんな人達がどんなことをやっているのか分からないという人が大方でしょう。普段、地元コミュニティの人達と付き合いが無いのに、伝道会の時だけ案内を配っても、なかなか人が来ないのも分かる気がします。私は、2012年の夏に防災意識調査のため、東京の20の教会を訪問し牧師インタビューをしました。「地元の町内会など、地元のコミィニティとのかかわりはありますか?」の質問に約6割の教会は「ほとんど無い」と答えました。
もちろん、地元の人々とコンタクトを持とうとしてバザーをしたり、コンサートをしたり、カフェを開いたりして努力している教会もあります。また、さらに一歩進んで、商店街の中にある教会が町内会のお祭りの時に、休憩所としてフェローシップホールを開放して、トイレを使ってもらっている所もあります。
また、面白い例としては、主要駅からちょっと離れた、いわゆるシャッター商店街近くの教会で、地域を盛り上げるためにスーパーの駐車場を借りて2日間のコンサート企画を商工会に提案し実行したところもあります。(どういう訳か、牧師はすでに、商工会メンバーでした?!)牧師は音楽に精通した人なので、ステージセット、音響などはすべて教会がセットしました。そして、1日目は地元のバンド、2日目は教会のゴスペルチームの演奏ということで了解を得て、町内の人と一緒にイベントを作り上げ、盛況だったそうです。教会が音頭を取って、商店街を盛り上げるイベントをやったケースです。目に見える形で教会が地元のためになっているケースです。当然、信頼は高まるでしょうね。
私は防災の働きもやっています。なぜなら防災はプレ宣教だと思っているからです。次の震災の事はクリスチャン、ノンクリスチャン問わず、皆の関心事です。そして、大災害の時は交通が止まってしまうので、しばらくは教団単位の縦の支援が来ません。そこで、教団は違っても同じ地域にある教会がネットワークし、防災、また震災後の支援、そして町の復興に共に取り組んでゆくことが大事になるのです。
東京の
JR新大久保駅に「大久保通り」という場所があります。所狭しと韓国ショップが立ち並び、多くの外国人や観光客で賑わっているところです。狭い歩道脇にレストランや店が連立し、災害が起こると逃げ込む場所もありません。実は、ここは「チャーチストリート」と言われるほど、教会が多い場所です。大きな会堂を持っている教会もあります。しかし、「牧師会」がありませんでした。お互い何となく知っていても、定期的な交わりが無かったのです。防災のために、この地区の教会のネットワークが必要という確信から、私が7つの教会に呼びかけました。今はこの地域の7つの教会が「防災」をテーマに各教会会場持ち回りで定期的にミーティングを持っています。そのうち、一人の牧師がネットワークで共通して使えるビブ(ゼッケン)を作ろうと提案して「新宿大久保通り教会防災ネットワーク」と名前の入ったグリーンのビブを一緒につけて支援活動をすることになりました。だんだん、一致が生み出されています。
大久保通りに面したところにある淀橋教会には広い前庭スペースがあります。あの辺では唯一、前庭スペースのある所です。当初からあそこで「防災フェスタ」ができないかと思っていました。これもネットワークミーティングで提案させていただき、2年ほど構想を練ったり準備したり時間がかかりましたが、先日、4月24日(日)夢が実現しました!しかも、直前になって新宿区防災課や消防団が後援に入ってくださり、その結果、町内会の掲示板にチラシを貼ってもらうことができました。第一部は防災講演会。私の防災セミナーに続いて、新宿消防署の方が講演されました。こんなコラボが実現するなんて!礼拝堂の中で消防士さんが講演くださったのです!後で聞くと区議会議員さんも2名来られたそうです。それに続き、室内では防災用具の展示や緊急トイレの作り方教室(これは牧師が担当!)前庭では、消防車、起震車が配置されました。煙体験テント、そして、消火器実践もあります。大人も子供も参加して楽しみながら防災体験をしました。オープンな前庭なので、道行く人も結構参加されました。300−500人くらいが出入りしました。ネットワークの牧師が消防署の方に「私たちだけではとてもできませんでした。ご協力感謝します。」というと、消防署の方も「皆さんが協力してくださらないと、このようには出来ないですよ。」と言われたそうです。そして、「毎年できるといいですね」という話になったそうです。大久保通りの恒例イベントになったら素晴らしいですね。
これを通して、教会がコミュニティとつながり始めました。東北では、支援を続けた教会に対して「教会さん、よくやってくれる。」とのコメントを頂いたそうです。震災前からこのような信頼関係を築けたら素晴らしいのではないでしょうか? 今、キリスト教界で「ネットワーク」が流行り言葉です。「防災」「宣教」のため地域教会のネットワークが必要だというのです。神はその地域のご自分の体(諸教会)にリソースを散りばめておられます。自分の教会にいなくても、あの教会には医者がいる、あの教会には介護士がいる、大工さんがいる。そして他の教会にはいないけど、ウチの教会には社会福祉協議会の職員がいる、議員さんがいるという具合です。ネットワークすることでリソースを共有できます。体として機能します。
(町内会の掲示板に掲示された防災フェスタのチラシ)
最初は、「防災」ということでネットワークを組みますが、やがて「防犯」や「福祉」においても地域に貢献してゆくことができます。外の人には⚪⚪️教団とか関係ないのです。「教会さん」なのです。実際の助けをしてゆくなら信頼が生まれるのです。諸教会が仲良く一致してコミュニティに仕えている姿は一番の証となるのです。おわかりでしょうか?防災はプレ宣教です。ネットワークは神の国を広げる神の戦略です。
—————————————————————
意味ある人間関係と祈りで広がるキリスト中心のコミュニティ
東京メトロ・コミュニティ(TMC)
0 件のコメント:
コメントを投稿