ブックレビューシリーズ(3)
「未来の年表」 河合雅司 講談社現代新書
人口減少 日本でこれから起きること。
日本の人口は100年で半減する!
2015年の国勢調査で人口減少が確認された。2015年時点で1億2700万人であった人口は100年も経たぬうちに5000万人ほどに減る。200年後には1380万人に。だいぶ先の話ではあるが、3000年には何と2000人になってしまうという。日本人自体が「絶滅危惧種」となってしまうのだ。確かに今は日本の人口は減っても東京の人口は増えている。しかし、2025年にはついに東京の人口減少が始まる。地方はもっと深刻で2040年には自治体の半数が消滅すると言われている。ちなみにこの早さで人口が減っていく国は他にはないという。
高齢者の激増〜日本は「おばあちゃん大国」に変身
今すでに4人に一人が65歳以上の高齢者。すでに超高齢化社会。2020年には、女性の半数が50歳超え。2024年には、全国民の3人に1人が65歳以上になる。女性の生涯未婚率が高まっており、結婚しても子供を持たない人も増えている。つまり、一人暮らしの女性高齢者が増大する。また孤独死や身寄りのない遺体も増えて行くことになる。当然歳をとれば通常の生活ができなくなっていく。2026年には認知症患者が700万人。もはや「国民病」となる。ガンなどの患者のベッドも足りない、輸血血液も不足する事態となる。
2033年には全国の住宅の3戸に1戸が空き家となる。今日すでに所有者不明の土地が九州全土ほどのスペースになっているという。2065年には現在の住居地域の20%が誰も住まない土地となってしまう。離島の安全保障にも関わってくる。外国人が無人の土地を占拠するようになるという。死者数は
2039年と2040年にピークを迎え、深刻な火葬場不足、霊園不足となる。2042年には高齢者人口が4000万人とピークを迎え、日本最大のピンチとなる。
若者がいない
2016年、出生数は100万人を切った。少子化がハイスピードで進んでいる。問題は100万を切ったことではなく、今後、出生数が急坂を転げ落ちるように減っていくということだ。2065年には55万7000人、2115年には31万8000人にまで落ち込むことが予測されている。つまりこれは後継者不足、労働者不足につながる。事実、2015年を境に勤労者数が減り始めている。2018年に18歳人口が急減し始め、国立大学が倒産の危機へ。
すでに40%超の私立大学が定員割れ。今後、少子化は大学にとっての死活問題となる。2019年からIT技術者が不足しはじめ、社会のインフラの老朽化も進むが、それらを支える技術者の後継者がいなくなる。仕事についた人たちもやがては高齢化した親の介護などで、介護離職が増えて行く。
あとは外国人頼みか?
日本はこのままでは劣化する。労働者不足は目に見えている。そして、それは国に税収にもかかわる。大まかに言って、国の予算は約100兆、税収は40兆、あと残りは国債(借金)に頼っている。すでに税金だけでは賄えない。高齢化、少子化、AI化の中で無くなる職業もある反面、従業者が増える分野もある。その代表が介護福祉関係だろう。政府も途上国の人々に技能や知識を身につけてもらう外国人技能実習制度を拡大し、介護福祉士の資格を取得した留学生が日本で働き続けられるよう、在留資格に「介護」を追加する法改正を行った。
日本の生産年齢人口は2015年から2040年までの25年間で1750万人減少すると推定されている。このまま無策のまま進めば、2110年には日本の人口は4286万人に減ってしまう。しかし、移民を毎年20万人受け入れ、出生率を回復すると2110年には1億1404万人をキープできる試算だ。ただ、そうなると5人に1人は移民ということになる。さらに、北朝鮮崩壊となれば韓国、北朝鮮から40万から100万人の難民が押し寄せるという。こうなると日本の社会構造が変わらざるを得ない。
日本の文化も変わるのか?
宣教師の墓場、クリスチャン人口1%の壁と言われて久しい。なにか日本は永遠に変わってないかのように思われがちだが、100年の間に2度、大変化を経験している。それは明治維新と太平洋戦争敗戦だ。ともに社会がひっくり返るような価値観の変化を伴う社会構造と文化の変化の時だった。そして、両方ともキリスト教が大きなインパクトを社会に与えた。とくに戦後はマッカーサーの後押しもあり、たくさんの宣教師が送られてきて、宣教が進められた。皇国史観という、今までの価値観を否定された若者は共産主義か教会へ足を運んだという。
さて、今、日本はこの100年に人口が半減するという大変化の時を迎えている。日本人が減り、多くの外国人を受け入れる方向となった場合、日本の伝統や文化の変質も避けられない。天皇制、祭り、伝統行事・・・。仏教や神道の価値観、世界観がどこまで継続されるのだろうか。いずれにしても日本は多文化共存社会となる。多様性、違った価値観、世界観を理解し、共存していかなければならなくなる。日本の教会も日本人だけで凝り固まっている訳にはいかないだろう。天国は多文化共生である以上(黙示5:9)、日本の教会もオープンになってゆくことが求められるだろう。また、これが「神の国」にとっての大きなチャンスとなるのかも知れない。
健康寿命が70と言われる今、60ないし、65で退職してもまだまだ人生が長い。高齢化社会の中では定年後の生き方がかなり鍵のテーマとなる。定年後の生き方コーチや終活(ライフレビューのメンター)などのニーズが高まるだろう。
「定年後」〜50歳からの生き方、終わり方 楠木新 著(中公新書)に定年後の日本人男性の問題が指摘されている。Social Isolation 、つまり仕事以外での人間関係(教会やコミュニティ活動など)に関して、日本人男性は「全くない」「ほとんどない」が16.7%。調査した21国でダントツ一位、2位はチェコの男性で9.7%。一位と2位の差は約2倍。もう前から言われていることだが、退職後の日本人男性は行き場を失う。「アイデンディティ」を失い、「居場所」を失う。朝から1日何もやることがないことに耐えられなくなる。コーヒーショップ、図書館、書店に一人でうろうろする。奥さんは外での活動に忙しい。そして夫に家に居て欲しくない。教会のチャンスでもある。どうしたら彼らを取り込めるのか。どうしたら彼らにコミュニティを提供できるのか?ご婦人方には「賛美歌を歌う会」とか、男性には「宗教でない、聖書読書会など」?また、増える外国人のために教会員ボランティアによる「日本語教室」なんかもどうだろうか?
21世紀の神にはまだまだアイディアがあるはずだ。
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意味ある人間関係と祈りで広がるキリスト中心のコミュニティ
東京メトロ・コミュニティ(TMC)
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