2021年1月28日木曜日

終末論の立場

 

終末論の立場

私自身、長年、超教派のクリスチャン団体に関わり、超教派的な伝道活動をやってきました。しかし、仲間とバイブルスタディを深くやるようになり、終末論をどう教えたらいいのだろうかと悩むようになりました。結局、自分の立場を決めないと終末論を語れないのです。特に「黙示録」をどう読むかです。


 

黙示録解釈の4つの立場

聖書 注解・索引チェーン式引照付き (いのちのことば社)によると、

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「この書は「黙示」と言われているように、普通の書とは異なり、象徴的表現を多く用いている。その中のあるものは説明されているが(1:20、17:5)大部分は、何を意味しているのか読者が解釈しなければならない。この書の解釈は4つに大別することができる。1」過去主義。この書の預言は初代教会の歴史によって成就されたと考える。2」歴史主義。この書のはヨハネの時代から歴史の終末までをパノラマ的に描いていると考える。3」精神主義。実際の出来事についてではなく、キリスト教が悪の勢力と戦わなければならないという、霊的原則を述べていると考える。4」未来主義。この書の大部分(4−22章)は未来に属する預言であると考える。」

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そして、注解書執筆者は「この立場(4)が、この書を理解する上で最も適切であると考えられる。」と結んでいます。

 

まず1)の過去主義の場合、「初代教会の歴史によって成就された。」と言いますが、明らかに黙示録が語るキリストの「再臨」は初代教会の時代には成就していません! また3)精神主義の場合、単なる霊的原則を述べるだけのために、4章から22章のこれだけ細かな、詳しい記述があるのは納得できません。

 

となると、教会の終末に向かっての歴史、特に未来に属する預言と考えるのが妥当なのではないでしょうか。「2000年前に書かれた黙示録をベースに現代の世界情勢を語るのは如何なものか?」というご意見もあります。黙示録は黙示文学として書かれているので、比喩に富んでおり、現実の歴史に当てはめるのは適当ではないという立場です。しかし、旧約の預言書は常に実際の歴史と関連しています。(イスラエルの捕囚からの帰還や、バビロン帝国、ペルシャ帝国、ギリシャ帝国、などの帝国の出現と衰退など)そして、黙示録の未来主義の立場を取るならば、神がこれらか人類に起こることを啓示されることは当然のことであり、この時間と空間、人類歴史に関わり、介入し、導かれている神の啓示が世界情勢と関わっていてもおかしくはありません。むしろ、主イエスご自身がしるしを見て、時を認識するよう促しておられます。(マタイ24:32)

 


黙示録は時系列?

さらに、6章からの神の裁きの部分はまず、「7つの封印」、(それぞれに具体的な記述がある。)そして「7つのラッパ」、さらに「7つの鉢」と入り子式に展開していきますが、1つ1つ進んでいくことから見ると、時系列として読むのが正しいと思われます。そして裁きが完了し、19章のキリストの地上再臨、反キリスト軍の敗北、サタンが繋がれて千年王国、その後、サタンの滅びと白い御座の裁き、そして21章の「新天新地」へと動いていきます。この流れが順当でしょう。21章からの「新天新地」には「もはや呪われるものがない」とあるので、19章での「獣」と「偽預言者」の滅び、20章での「竜=サタン」の滅びが前提となります。順番通りでないといけないのです。つまり時系列です。


 

反キリスト

未来予言の1つのキーワードが「反キリスト」です。この言葉自体はヨハネの手紙に4回出てくるだけですが、「反キリスト」の概念を表す言葉は聖書の他の箇所にも出てきます。

 

1)      小さな角(ダニエル7:8)

2)      横柄で策に長けた王(ダニエル8:23)

3)      忌まわしい者、荒らす者(ダニエル9:27、マタイ24:15)

4)      不法の者、すなわち滅びの子(2テサロニケ2:3)

5)      獣(黙示11:7、13:1、14:9など)

 

それらを見ると、「反キリスト」とは神とキリストに反抗して立ち神殿を汚す存在で、過去すでにシリアのアンティコス・エピファネスやAD70のエルサレム滅亡を引き起こしたローマ総督フロルスなどが当てはまります。しかし、興味深いのはAD70年後に書かれた黙示録に「獣」が登場していることです。つまりこれはThe Beast, ラスボス、終末の世界支配者であることが分かります。この反キリストの背後にはサタンがいます。

 

「彼はサタンの働きによって到来し、あらゆる力、偽りのしるしと不思議、またあらゆる悪のあざむきを持って滅びる者たちに臨みます。」

                     IIテサロニケ2:9—10)


 

サタンのリアリティ

聖書では一貫してサタンをリアルな存在として描いています。単なる悪の概念ではありません。生きて働いているのです。(Iペテロ5:8)悪霊は世界のリーダー達に影響を与えることができるし、人に取り憑くことさえできます。(ルカ8:27)またサタンにひれ伏せば、この世界の栄華をものにすることもできます。(マタイ4:8)このリアルなサタン(誘惑者)と人の罪(誘惑される要素)がある限り、人間の世界統治はうまくいかず、地上天国は来ません。こういったサタン理解が世界の動きを分析するのに違いを生みます。宣教学者の福田充男氏が言うように特に欧米のキリスト教には現実世界にサタンや悪霊が生きて働くという「中間層」が欠如していて、そういう霊的世界は日曜朝の礼拝の説教の中だけの出来事と考える傾向があるのではないでしょうか?そうすると「悪魔礼拝者がいる」ことや、「闇の勢力が世界に働いている」と聞いても「陰謀論」で片ずけてしまうことになるのです。

 

ちなみに反キリストの正体が明らかになってからの活動期間は3年半です。

(ダニエル12:7、12:11、黙示13:5)


 

不法の秘密

「反キリスト」はいきなり現れるのではありません。「不法の秘密」として、その登場の舞台が整えられていくのです。時系列を見ていくと・・(IIテサロニケ2:3—8)

 

1)      いろいろな手段による騙し (フェイクニュースを流すことなど)

2)      教会の中に背教が起こる。世に調子を合わせるクリスチャンたち。

3)      不法の者(反キリスト)の到来。自分こそ神であると宣言する。

4)      主の日(再臨)の到来。

 

4)の主の日(再臨)はまだ起こっていません。3)自分こそ神と宣言する世界支配者はまだ来ていません。なぜなら、「不法のものがその定められた時に現れるようにと、今はその者を引き止めているものがある。」IIテサロニケ2:6)からです。しかし、同時に「不法の秘密はすでに働いている。」IIテサロニケ2:7)つまり、引き止めているものが取り除かれ、「その時になると、不法の者が現れる。」IIテサロニケ2:8)という理解です。引き止めるものは通常、「クリスチャン=内に住む聖霊」、または「教会」と解釈されます。

 

ともあれ、「今」の時代は1)と2)の時代と考えられます。もちろん、過去にも世界大の疫病や災害や戦争があり、終末が来たと思わせる時代もあったでしょう。人類2回の世界大戦の後、楽観論は影を潜めました。この世が進化して良くなるより、悪くなるのではと思う人が増えたのです。今の時代は「さらに」患難期への入り口に近づいていることが分かります。

 

  イスラエル国家再建 (1948年5月14日)ダニエル9章27節の反

キリストが契約を結ぶには、イスラエルが国家になっていることが前提。

 

  いわゆるエゼキエル戦争(エゼキエル38章、ロシアがイラン、トルコなど

の連合軍としてイスラエルに突如攻め入ること。)の舞台が整いつつあること。今まで敵だったアラブ諸国がイスラエルと次々に和平を結び、イスラエルが建国以来一番、安心して暮らせるようになっていること。同時に、イラン、トルコが反イスラエル、反アラブ連合になってきていること。

 

  世界各地の地震多発。気候変動に自然災害多発。今後さらに増加。

 

  世界大パンデミック(自然災害を含め、これらは黙示6:8の予兆と考えられる。)

  リベラル思想の世界的蔓延とモラルハザード(LGBT、麻薬、フリーセックスなど)



         (科学者たちが示す終末時計、あと100秒!)

 

そして、何と言ってもデジタル時代が世界統一管理に向けて拍車をかけています。(黙示13:16−18)が現実的になってきています。これは「不法の秘密=反キリストの世界支配の舞台作り」と考えられます。さらに・・・

 

  インターネット時代。デジタル管理社会へ。(キャッシュレス、顔認証、位置情報など)中国はすでにデジタル管理社会の実験場として、14億の個人情報を政府が管理。さらにスマホから体内へのチップ埋め込みと進むでしょう。それが、今後のパンデミックのワクチン接種証明書、また仮想通貨と繋がるようになるでしょう。

 

  ディープステーツ(影の政府:エリート層、軍産複合体、大手メディア、IT企業の連携による世界統制を目論む利益集団)の推進する「グレートリセット」。「グレートリセット」はコロナ後の経済、社会、教育、農業などをリセットし、より強力で大きな政府、世界大の政府による管理を目指しています。

環境保護、ベーシックインカムなど政府による社会保障の充実、教育無償化など、良さそうにも聞こえますが、結局は少数のエリート層による「洗脳」と「愚民」の管理ということになりかねません。特にこれを達成するために、「言論統制」、情報コントロールによる1方向に向かわせる「世論形成」が行われてゆくでしょう。

 

これらが繋がってきます。字義的解釈派にとってサタンは常にリアルな存在で、大活躍中です。ですから、こう考えます。ディープステーツ、超富豪エリート集団はサタンに魂を売って(マタイ4:8)世の富と権力を得た者達であり、彼らの全てではないにしても、ある人々がサタン礼拝や小児性愛という悪魔的な行為に関わっていても驚くに当たらない・・・と。ある人は「陰謀論」と一笑するでしょうが、私は有りだと思っています。


 

教会はどうなる?

今後、バイデン・ハリス政権は反聖書的なリベラル政策(LGBT平等法、妊娠中絶推進、麻薬の容認など)を推進します。教会はどうなるのでしょうか?ポリコレが進み、キリストの独自性、唯一性は許されなくなり、伝道の自由も奪われていく(少なくも公共の場では)方向でしょう。神なきヒューマニズムが蔓延し、多くの教会はリベラル化し、弱体化し、ついには背教するのではないでしょうか。反キリストが現れる前に、「まず背教が起こり・・」(第二テサロニケ2:3)とあります。そして頑なに聖書主義を貫く「キリスト教原理主義者」は人類の進歩を邪魔する敵と見なされ、迫害されることになるのです。

 

しかし、主の現れの時に、

 

「主は、神を知らない人や私たちの主イエスの福音に従わない人々に罰を与えられます。」IIテサロニケ1:8)

 

と約束されています。そして、愛と正義と平和が支配する御国=Kingdomは王なるイエスが再臨された時に実現します。


 

私の立場

と、まあ、こんなところが私の理解するところです。ですから私の終末論の立場を整理すると以下のごとくです。

 

1)      ディスペンゼーション神学、聖書の字義的解釈

2)      黙示録の「未来主義的解釈」と「時系列的解釈」

3)      再臨に関しては「千年王国前再臨説」

4)      携挙に関しては「大艱難時代前携挙説」

(ただし、それなりの根拠はあるものの、聖書がはっきり書いておらず、しかも初代教会の信仰として、「千年王国前再臨説=キリアズム」のようにドキュメントが残っていない限り、実際は起こってみないと分かりません。個人的にはこの説を強く希望し、期待しています。)

5)      「御国」に関しては・・・サタンはリアルな存在であり、今日、2:2生きて活躍している。(Iペテロ5:8、エペソ2:2、エペソ6:11−12)また、サタンの誘惑を受ける要素を人間が持っている限り(マタイ4:8、エペソ2:3)人が地上天国を築くことは出来ない。御国はキリストの再臨の後、サタンが縛られてからの「千年王国」、そして滅ぼされてからの「新天新地」にて成就するのであり、今、世界大の大リバイバルがあり、教会が世界を支配するといった意味での地上天国=御国は到来しない。(ルカ18:8)聖書全体に見られるのは、むしろレムナント(残された者)の思想である。

 

不義や人権弾圧、サタンの策略に対して声をあげ、指摘してゆくことは預言者としてのクリスチャンの使命でしょう。しかし、基本的には、終末における「クリスチャンの生き方」は社会改革や革命ではなく、キリストの来臨を待ち望み(Iテサロニケ1:10)、祈りに専念し、熱心に愛し合い、賜物を持って仕え合うことです。(Iペテロ4:7—11)

 

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執筆者:栗原一芳

Japantmc@gmail.com

 

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