2023年11月16日木曜日

実は分かりやすい旧約聖書

 

分かりにくい新約聖書

死んだら天国に行く。当たり前のようにクリスチャンはそう信じています。ところが「死んだら天国」とはっきり書いてある箇所がないのです!ルカ23:43から、その「天国」とは、「パラダイス」のことと推察できるのですが、その「パラダイス」に関しては詳細な説明も描写もないのです。「素晴らしいところらしい」以上に、説明できますか?

 

パウロは「わたしの願いは、世をさってキリストと共にいることです。」(ピリピ1:23)と言っていますが、それ以上の詳細な描写はありません。キリストと共にいるのだということは分かります。しかし、そこで、どんな生活をするのか皆目分からないのです。天国=パラダイスは良いところだろうとは想像できますが、実は詳細な描写がないのです。正直、私はよく分からないので、あまり魅力を感じません。地上に実現する「千年王国」の方がワクワクします。

 

新天新地も「天から下ってくるエルサレム」が中心で、聖なる都(エルサレム)の記述は21:11以降、あるのですが、私たち異邦人の国=諸国に関しては26節に、ちょっと出てくるだけで、詳細な説明はありません。「天国良いとこ〜♪」と言っていますが、実は、どんなところで、どんな生活をするのか、よく分かっていないのです。

 

「天に宝を積む」という表現も、それは「天国へ行ってからの霊的報い」ですと言われても、「霊的報い」って何かよく分かりませんね。「すべての霊的祝福」(エペソ1:3)も分かったようで分かりません。「冠」や「地位」を頂いても、そんなに嬉しいでしょうか。もちろん、主キリストを知ったこと、神の家族に加えられたことはこの上ない祝福です。しかし、「病気にならない」、「長寿」、「豊かな富」というのに比べて、やはり漠然とした感があります。

 

よく「聖書は難しい」と言う日本人がいます。新約は「天」とか「霊」とか「次元」の違う話が入ってくるので難しいのです。クリスチャンでさえ、分かったようで分からなくなるのです。それにギリシア哲学の霊肉二元論が入ってきて、中世の「キリスト教」を形成していくので、(カトリック僧の肉体苦行など)輪をかけて分からなくなるのです。霊的成長とは、「我もなく、世もなく、キリストのみ」という言わば「神に吸い込まれること」になっていくのですが、だとしたら、それって、霊肉二元論じゃないでしょうか。それだと、私たちの体や、この被造物世界はどうでもいい事になってしまいます。現世には関係ない「キリスト教」に、多くの人は魅力を感じないでしょう。

 

分かりやすい旧約聖書

それに比べて、旧約聖書は「地上的」です。祝福や呪いも「具体的」です。例えば、約束の地に入る直前に新世代に神の戒めをリマインドした申命記を見ると・・・

 

今、イスラエルよ、私が教える掟と定めを聞き、それらを行いなさい。それはあなたがたが生き、あなたがたの父祖の神、主があなたがたに与えようとしておられる地に入り、それを所有するためである。  (申命記4:1)

 

神に聞き従う目的は「死んだら天国へ行く」でもなく、「霊的祝福を受ける」ためでもないのです。「生きて」、「土地を所有する」ことです。非常に分かりやすいですね。神の命令に従わない者は、根絶やしにされたのです。(4:3)「死んでから地獄で苦しむ」のではなく、シンプルに、この地上から消し去られるのです。これも分かり易いです。旧約は死後のことに、関心が無いのです。「地獄」の思想がありません。5節でも「土地の所有」が書いてあります。また、子孫が幸せになり、土地を永久に保持し、永く生きられるのです。(6:2、11:9)これが神の命令に従った「結果」なのです。

 

神に従わず、偶像を拝むなら、「根絶やし」にされ、または諸国に散らされ、自分の土地を失うのです。(25−27節)呪いも非常に具体的です。さらに7章を見ると・・・

 

もしあなたがたがこれらの定めを聞き、これを守り行うなら、あなたの神、主は、あなたの父祖たちに誓われた恵みの契約をあなたのために守り、あなたを愛し、あなたを祝福し、あなたを増やす。主があなたに与えるとあなたの父祖たちに誓われた地で、あなたの胎の実も、穀物、新しいぶどう酒、油などの大地の実りも、またあなたの群れの中の子牛、群れの中の子羊も祝福される。あなたはあらゆる民の中で最も祝福される。あなたのうちには、子のいない男、子のいない女はいなくなる。あなたの家畜も同様である。主はあらゆる病気をあなたから取り除き、あなたが経験したあのエジプトの悪疫を、一つもあなたにはもたらさず、あなたを憎むすべての者にこれを下される。

                      (申命記7:12−15)  

 

つまり、神の命令を守ると、

 

1)      子沢山になり人口が増える。

2) 家畜や産物が増え豊かになる。

2)      病気にならない。

 

ここでも、「天国」に行くとは一言も書いてありません。「霊的祝福を受ける」も無いのです。全ては、この地上での「祝福」です。正に、「家内安全」「無病息災」「商売繁盛」ですね。実に分かりやすい。そして、そのように目に見える形で祝福されることが、諸国への「証」となると明記されています。

 

これを守り行いなさい。そうすれば、それは諸国の民にあなたがたの知恵と悟りを示すことになり、彼らはこれらすべての掟を聞いて、「この偉大な国民は確かに知恵と悟りのある民だ」と言うであろう。(申命記4:6)  

 

実は、旧約聖書は、日本人にも分かりやすく、入りやすいのではないでしょうか。あるクリスチャンビジネスマンの方は、伝道する時、まず旧約の神(創造主)に持っていく、まず、神を認めさせる。そして、その後で、人生の勝利者となるためにキリストを語ると言っていました。なかなか面白い発想ですね。

 

新約でも、基本、神の御心はあなたが健康であり幸いなことです。

 

愛する者よ。あなたのたましいが幸いを得ているように、あなたがすべての点で幸いを得、また健康であるように祈ります。 III ヨハネ2)

 


注意しないといけないのは、今回挙げた申命記は、イスラエル民族に、「約束の地」に入る直前に与えられた契約であり、現在のクリスチャンにそのまま適用できない面もあるとうことです。実際、敬虔なクリスチャンが大病を患ったりしますね。お金があってハレルヤ、健康だからハレルヤ、仕事がうまくいったからハレルヤ・・それは分かりやすいけれど、ある意味、信仰がなくても「ハレルヤ!」と言える訳です。それでヨブは、神への信仰を試されるために所有物が取り去られ、自分の健康さえ取り去られます。

 

さて、病気になっても平安と喜びを持てるためには?お金持ちにならなくても平安と喜びを持つには?子供がいなくても、あるいは独身者でも平安と喜びを持つには?そう、それがイエス・キリストを信じる信仰による勝利です。新約の祝福は、そういう意味では深いし、レベルが高いのです。やっぱり、旧約も新約も必要ということですね。

 

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執筆者:栗原一芳

 

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